寝不足気味!?よく眠れない大学生必見!寝る前の運動で睡眠の質を上げよう

運動することで睡眠の質が上がるって本当?

皆さんは寝ても寝ても眠い日や、昼夜逆転してしまった経験はないでしょうか?実際にデータとして以下のようにあるように日本の大学生の睡眠の質は悪化しています。

日本人の睡眠状況は海外と比べて悪く,不眠症の発症など何らかの睡眠問題を抱えている日本人は 5人に 1 人である.このように日本人の睡眠は芳しくない.近年では特に大学生の睡眠が問題となっている.大学生における睡眠時間は海外と比べると最も短くなっている.

(参考http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2013/1K10C201.pdf

このような状況では、日々の学業や課外活動に集中して臨むことができませんよね。せっかくなら集中してやりたいので睡眠の質をあげようと考えている大学生も多いでしょう。

巷では睡眠の質を上げるためには『運動するといい』ということがよく言われています。
しかし、それはどうしてなのでしょうか?「今日はよく眠りたい」からと運動をしてもよく眠れる場合もあれば、そうでない場合もあり、ばらつきがあります。ですので、本当に運動が睡眠にいいのか半信半疑な人も多いと思います。

今回はしっかりその根拠を説明するとともに、どう運動すれば本当に睡眠の質を上げることができるのかを紹介していこうと思います。

なぜ運動することで睡眠の質が向上するのか

運動が睡眠に良い影響を与えることは有名ですが、どのように私たちの体に働きかけているのでしょうか。

自律神経という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。これは、私たちの体調を管理する神経のことを言います。
また、自律神経は交感神経と副交感神経に分かれており、交感神経は私たちの体を活発にさせる神経系で、副交感神経はリラックスさせてくれる神経系となります。

そこで、この二つの神経のバランスが取れないと体に異変が起きてしまいます。また、不眠症やなかなか寝付けない、寝ても寝ても眠いといった睡眠に関する体調の崩れは副交感神経が弱り、交感神経が強いときに起こります。

副交感神経を活発にさせることでより質のいい睡眠をとることができるようになるのです。副交感神経に刺激を与えるためにするべきことが適度な運動になります。

よって、適度な運動は、「副交感神経を高めることができる」ということになります。特に、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は自然な呼吸で多くの酸素を取り込めるので、副交感神経を高めるには効果的となります。

どのように運動すればいいのか?

では、どのように運動すればうまく副交感神経を刺激して睡眠の質を向上させることができるのでしょうか。

過度な運動は逆効果

前に述べたように適度な運動によって副交感神経を高めることができます。例えば、ジョギングやウォーキングなどです。では、逆に負荷の高い運動をしてしまったら(オーバートレーニング)どの様な反応が出るのでしょうか。

以下にあるように、過度な運動はかえって交感神経を刺激してしまい、目を冴えさせてしまう効果があるようです。

運動の実施は眠気の有意な増加をもたらさず,運動強度によっては一時的に眠気の減少も起こることも報告されている.長期間の高強度運動あるいは「オーバートレーニング」は睡眠を阻害することが示唆されている.

http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/28106/1/ouhes_02_075.pdf参考)

また、運動でも有酸素運動と無酸素運動に分かれますが、どちらがより効果的だと思いますか?

これまでの研究では、対象の運動の種類はほとんどが有酸素運動でしたが、筋トレなどの無酸素運動の影響はどうでしょうか。適度な強度の無酸素運動であれば、運動後に、よりリラクゼーションが進むということもありますので、これはOKです。

しかし、有酸素運動のように呼吸で酸素を取り入れることのできるリラックス効果が失われてしまうので、有酸素運動よりは非効率的となります。

以上のように、無酸素運動でもオーバートレーニングにならない程度なら効果ありですが、無酸素運動よりも有酸素運動のほうが副交感神経を刺激しやすいのです。

運動するタイミング

運動するタイミングも睡眠の質向上に関係してくると言われています。以下のようなアドバイスが早稲田大学のスポーツ科学学術院教授の内田教授からされています。

運動のタイミングも、意味があると言われています。習慣的な運動については、朝運動するというのも、夕方運動するというのも全体的なフィットネスレベルが上がるので、それぞれ同じように効果があると思います。

<中略>

これまでの研究でも午後運動すると夜間睡眠を改善しやすいと言っている研究者も居ます。夜間の運動はどうでしょうか。これも、睡眠前に適度な運動をすればリラクゼーションになり、また体温も上がるために入眠がスムーズになるという面で入眠力アップにつながると思います。しかし、あまり過剰な運動をすると運動によって交感神経系が活性化し、また運動のストレス効果によって睡眠に悪い影響が出るとも言われています。

https://www.asleep-bedroom-project.com/about/column/uchida/vol08.html参考)

とあるように、基本的にはいつおこなっても大丈夫ですが、寝る前の過剰な運動は逆効果ということになります。
まとめると、強度の高すぎない運動(ジョギングやウォーキングなど)を夜間はなるべく避け、適度に副交感神経を刺激することで睡眠の質を良くすることができます。

***

運動が睡眠の質向上につながる根拠と、適切な運動方法が分かっていただけたでしょうか。
大学生ともなると、夜遅くまで飲み会があったり、夜更かしをしてなかなか眠らなかったりと不規則な生活を送りがちです。
その結果、日中眠くて集中できなかったり、寝不足気味で頭が回転しなかったり、大学生活を思いっきり楽しむこともできなくなります。

もし寝つきが悪かったり、寝た気がしていない方は今回の記事を参考にして運動を習慣づけてみてはいかがですか?
ぜひ、みなさんの睡眠の質が少しでもよくなるように参考にしてみてください。

参考

『身体活動と睡眠に関する文献的研究』 島本英樹、柴田真志

http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/28106/1/ouhes_02_075.pdf

睡眠の質向上のための運動法

https://www.asleep-bedroom-project.com/about/column/uchida/vol08.html