「やったことの中からしか、やりたいことは見つからない」東大ライターの語る、真っ直ぐな生き方|東京大学 4年 本橋 儀貞

インタビュイープロフィール

本橋 儀貞(もとはし よしさだ)
東京大学 農学部 動物生命システム学科 4年
DEN-DEN代表
でんでん報 編集長

ライター育成講座を行っている「DEN-DEN」の代表兼、「伝えるチカラを持った人材を育成する。」というミッションを掲げるwebメディア「でんでん報」の編集長の本橋儀貞(以下、本橋さん)さん。
本橋さんは、現在のweb業界を取り巻く環境に問題意識を抱き、現在は東大に通いながら、一人でも多くのライターの価値が認められる社会を目指して活動中。
study hackerでは立ち上げ当初からNo.1ライターとして活躍し、study hackerに留まらず、様々なメディアで2年間でおよそ300本の記事を執筆。自身の2年半のライター経験や持ち前のトークスキルを活かし、ライター向けのセミナーを月2回開催。

そんな本橋さんに、DEN-DENを始めたきっかけ、現在抱いている問題意識やこれからのビジョンについて迫ります。本橋さんが語る、やりたいことを一直線に求める生き方とは。そして、その中で生まれる葛藤についてもお聞きしました。

ライターを始めたきっかけ〜好きから入り、地道に勉強をした〜

小さい頃から文章を書くこと、話すことが得意で発信能力には昔から自信がありました。そこで、自分の腕試しとスキルアップを兼ねてライターとして活動を始めたんです。大学に入った時に、自分のアウトプット能力がお金の回っている市場経済においてどのくらい価値があるのだろう、と思ったんですよね。その時たまたま立ち上げ当初のwebメディアを見つけて、そこでライターとしての活動を始めました。正直、入った当初は自信がありました(笑) でも、思った通りにはいかなかったですね。メディアに入った当時は記事を書いては編集者に直され、の繰り返しです。自分が書いた物じゃない記事がメディアに上がり、すごく悔しい思いもしました。その上がった記事と自分の記事を見比べては、どこが違うのかを分析して地道に勉強しましたね。

目の当たりにしたweb業界の闇

ライターとしての活動の中で、様々な気づきがありました。その中の一つは「記事の中には根拠が必要」というものです。結局大学生である自分が言っていることは、ただの戯れ言でしかない。だからデータであったり、色々な分野の研究結果や誰か権威ある人の発言を引っ張ってくる必要がある。そうすることで、自分の記事の信ぴょう性を高めるんです。でもインターネット上の情報って、適当な物も多いんですよ。たわいもない噂話をソースにしていたり、あるいは誰かわからないような個人のブログを参考にしていたり……。さすがに2ちゃんねるのレスを引用している記事に出会った時は、びっくりしましたね(笑)その時ネット上の記事はこんなにひどかったのか、と思い始めました。

そういう現状に気づき、もっとweb業界に関する見識を広めたいと思いました。一カ所だけではなく色んなところで記事を書きたいと思ったんです。
そこで、大手クラウドソーシングのサイトをのぞいてみました。驚愕しましたね。ライターさんが一文字一円にも満たない値段で書いていたんです。2時間かけて2000字書いても、600円にもならないものも多くありました。それで、クラウドソーシングを実際につかっている企業を見学に行きたくて。学生起業家にあって話を聞いてみたら、自分のメディアの質が低いことを認識しているんですよ。それにも関わらず売り上げを優先して質は二の次。しかもその現状になんら問題意識を抱いていなかった。これにも驚愕しました。

高すぎた壁

ライターさんが適正な価値を受け取れていないこと、そしてそんなライターさんたちが書く記事の質も低いこと。

「この2つの現状をなんとかしなきゃいけない」と思いました。でもこれはライターや経営者の問題ではなく、仕組みの問題なんだと気づいたんです。まず仕組みが変わらないと現状は改善を見せないだろう、と。低質でも記事をたくさん書いて、広告を貼ってお金を稼ぐ。PV( ページビュー)至上主義であるこの仕組み自体がおかしいと思いました。それからは、仕組みを本気で変えたいと思うようになりました。でも、仕組みを変えるという壁は思っていたより何倍も高くて。広告収入でお金を稼ぐというビジネスモデルは、あまりにも浸透しすぎていたんです。

ライティングという自分の武器を振り回す

仕組みを覆すことは難しすぎるとわかり、じゃあ自分がやるべきことは何かと考えました。

よく「できること、やりたいこと、需要」って言うじゃないですか。自分に出来ることは、勉強・ライティング・しゃべること。でも、勉強を使って何かをしたくはなかったんです。その時に選んだのがライティングでした。手元にある武器がライティングだったので。とりあえずそれを振り回してみよう、と思いライティング講座を始めましたね。

具体的に目指したのは、書き手の質を上げることです。自分は書くのが得意なので、それを活かせないかな、と。自分のノウハウを伝えて、エビデンスのある記事を書けるライターさんを育てる。そのライターさんの記事を適切な値段で企業さんに買っていただく。それで企業さんに「良い物が出て来るな」と思っていただいて、最終的にはそういった質の高いライターの派遣を出来るようにしたい。そう思っています。

自分がすべきことは、それを通して「何らかの気づきを世の中に与えること」だと思ったんです。その気づきは、「良い文章はやっぱり読まれるんだよ」という事。それをなんとか世の中に知らせたかったんです。そうすることで、web業界から質の低くライターさんも適正な対価を受け取れない状況を打破したいと考えたわけです。そこからだんだん発展していって、DEN-DENという講演会が形になっていった経緯もあります。

世の中に気づきを

目指すところは、でんでん出身のライターさんが活躍することです。0から育てたライターさんの記事が色々なサイトに載って、色々な人にそれを見てもらう。そしてその記事の価値が外部の人にも認められることで、そのライターさんがどんどん外部のメディアで起用されるようにしたいですね。
そういう活動を通して、世の中に「いい文章はやっぱり読まれるんだ」という気づきを与えたいです。そして、PV(ページビュー)至上主義を変えたいと思っています。

同年代に伝えたいこと 「やったことの中からしか、やりたいことは見つからない」

とあるイベントに参加したことがあったのですが、そこで師匠となる人に出会いました。その人は、将来のビジョンを語ってくれて、それがすごく格好良かったんです。その人に言わせれば、「やりたいことは探しても見つからない。探すこと自体に意味が無い。結局自分がやったことの中からしか、やりたいことは見つからない。」これは最近自分でも思っています。とにかく目の前にある木の枝でもなんでも拾って振り回していけ、と言うことです。その中でやりたいことに当たれば良い、と。実はライティングって、初めからやりたいことじゃなかったんですよね。出来るだけでした。でも、人に教えて、喜んでもらえて、それが良かったんです。

でも、まだ正直何が正しいのかよく分かっていません。今持っている木の枝だって、たまたま持っているだけで、今後どうなるかは分からないですし。このまま行ったらライティングしかないけれど(笑)本当にこれでいいのかは分からないです。まさに藪の中にいる感覚ですね。真っ暗なトンネルというよりは藪の中。どこに進んで良いのか分からないけど、とりあえず鉈(なた)を振り回して道を作っている状態です。


今回インタビューに応じていただいた本橋さんは、DEN-DEN兼でんでん報の代表を務めています。

DEN-DENはライティング講座を2週に1回開講中。記事作成だけでなく、価値ある文章を書きたい人必見です。ワークショップがいくつか設けられ、実際に文章を書きながら実践的にライティングを学ぶことができます。私たちは生活の中で文章に触れる機会がたくさんありますよね。自分の書いた文章が他人の目に触れることもあります。そんな時、どんな文章なら最後まで読んでもらえるのか、どんな文章なら相手に価値を与えられるのか考えたことはありませんか? DEN-DENに参加することで、その答えへの一歩が見つかるかもしれません。

また、でんでん報では記事作成を通して、共に伝える力を身につける仲間を募集中。将来ライター志望である必要はありません。でんでん報の仲間になって、あなたの「できること」を増やしてみませんか?

(でんでん講習会の参加者の様子)