ブラック企業に入社する前に!早期離職経験者から学ぶ会社選びのコツ

早期離職経験者から学ぶブラック企業を避ける会社選びのコツとは?

誰しも心身をすり減らして働かねばならないようなブラック企業には勤めたくないもの。
ですが例年、期待を胸に入社したものの、労働環境が悪いなどのトラブルに遭ってしまうことも少なくないそうです。
新卒入社3年以内に早期離職する人は約3人に1人、更に入社後3年間の中でも1年以内の超早期離職の割合が一番高いという統計が出ています。(厚生労働省調べ)
みすみすブラック企業に入社しないために、実際に早期離職を経験した人達に聞いた「ブラック」な体験談を元に会社選びのコツを学んでいきたいと思います!

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実は似たり寄ったりな早期離職理由

ブラック企業と一概に言っても、多少のブラックな要素はどの企業にもあるもの。
では早期離職を余儀なくするほどの離職理由はどんなものがあるのでしょうか?

■3年以内の早期離職者の離職理由■
1位 肉体的・精神的に健康を損ねたため
2位 労働時間・休日・休暇の条件が良くなかったため
3位 人間関係が良くなかったため

業界や企業によって業務内容は大きく変わるものの、離職に至る理由は労働環境や心身の健康に関する理由が占める割合が非常に大きく、「やりたい仕事と異なる」「キャリアアップのため」などの業務内容に関する理由は二の次という結果でした。
また、特に女性に関しては「結婚・出産のため」が4位に上がっており、結婚や出産を理由に退職を迫られるケースも依然多くみられます。
1位の「肉体的・精神的健康を損ねたため」の原因には、2位の労働時間や休暇、3位の人間関係のストレスも重ねてかかっている場合が多いようです。
どんな原因にしろ体に不調がでるほどのストレスを感じたら確実にブラック企業です。

■早期離職者の経験した職場トラブル■
1位 残業代が支払われなかった
2位 一人でも仕事を休むと業務がたちゆかなくなる
3位 希望日に有給がとれない
4位 暴言、暴力、いじめ、嫌がらせを受けた

男性と女性とで1位と2位が逆転しているものの上記4項目が占める割合が大きく、「募集要項や説明会で伝えられた採用条件と現実の労働条件が異なっていた」「長時間労働の常態化」「残業代不払い」「暴言・暴力・いじめ」などのケースが比較的多い結果となっています。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html

\早期離職した先輩の声/
「残業が発生するのは自分の仕事が遅いからだと上司に言われみんな当たり前にサービス残業していた。」(広告)
「毎日のように怒鳴りちらす上司がいて、誰に相談してもあの人はそういう人だからと対応してもらえなかった。他に不満はなかったが部署移動もさせてもらえず耐えられなくて辞めた。」(専門商社)
「休日出勤がある代わりに振替休日が取れると聞いていたけど、実際は平日にこなしきれない業務を休日に充てているので振替休日なんて取れる雰囲気じゃなかった。休日出勤がない職場を選ぶべきだった。」(IT)
「会社に育児休暇制度はあったが現場に受け入れ態勢ができておらず、妊娠を報告したら『1年も休職したら戻ってくる場所なんてないよ』と冷たく言われて続けられる空気じゃなかった。」(飲食)

早期離職率の高い企業の特徴(規模別・業界別)

離職理由や職場でのトラブルはどの業界でも似たような内容が多いという結果でしたが、新卒入社後3年以内の早期離職率は企業規模や業界によって大きく異なるという調査結果が出ています。
もちろん該当する業界内の全ての企業が、労働環境の悪いブラック企業というわけではありません。
ですが早期離職をするような環境の企業が多い業界=ブラックな傾向が強いという認識を持って、入社を考える際は事前調査をしっかり行う必要があると言えます。

■企業規模(従業員数)別早期離職率■
・5人未満:59.1%
・5人~29人:50.2%
・30人~99人:38.8%
・100人~499人:31.9%
・500人~999人:29.8%
・1000人以上:24.3%

企業規模別早期離職率は従業員数が多いほど、見事に低くなっています。
これは大企業の方が比較的「経営が安定している」「労働条件が良い」という理由の他にも、離職理由の3位に上がった「人間関係のトラブル」にも対応しやすいという利点があるためと考えられます。
従業員数が多いことで新入社員と先輩社員がマンツーマンでフォロー可能なメンター制の導入などフォロー体制が整っている、仮に人間関係が上手く築けなくても部署異動ができる、予算的にも人員的にも余裕があるため企業側が離職防止の対策が豊富に打てるなど、企業体力が高いからこそできる施策が多いからだと言えるでしょう。

■業界別離職率TOP5■
1位 宿泊業・飲食業:50.2%、
2位 旅行業、美容業、冠婚葬祭、アミューズメントなど娯楽サービス業:46.3%
3位 教育・学習支援業:45.5%、
4位 小売業:38.6%、
5位 医療・福祉:37.6%

一般的に不人気業界と言われているような飲食業や娯楽サービス業、福祉などの他にも、就活生から比較的人気の高いホテルなどの宿泊業、旅行業、ブライダルなどの冠婚葬祭業なども早期離職率トップ5に入っています。
これらの業界は共通して消費者向けのサービスのため勤務形態が不規則なことが多く、勤務時間や労働条件がハードになりやすい特徴が見受けられます。
サービス内容の身近さ、影響の大きさ、華やかなイメージなどから入社先に選ぶ就活生も少なくありませんが、入社前のイメージと現実が大きく異なる場合や、ハードな業務に耐えきれず心身を壊す人もいるということも頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

参考:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成26年度卒 ※離職後3年目のデータが必要なため)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html

\早期離職した先輩の声/
「憧れがあって第一志望の就職先を選んだが休みが全く取れず体調不良を繰り返したため泣く泣く辞めた。」(旅行)
「遣り甲斐はあったが残業代の出ない授業の準備など自宅での時間外労働が多かった。」(教育)
「シフト制で一応休日はあったが店舗のアルバイトさんが欠勤したりすると休日でも出勤せざるを得なかった。」(小売り)
「休日出勤も残業も少なく働きやすい環境ではあった。でも3年間店舗勤務を続けてみてこの先のキャリア(給料や役職)が上がる未来が全く見えず転職した。」(飲食)

入社承諾前に一度立ち止まって考えたいこと

■1年以内の超早期離職した人のその後のキャリア■
・正社員勤務をしている割合が男性54%、女性23%と3年以内の中で最も低い
・次の仕事に対する満足度も3年以内の中で最も低い


早期離職を経験した人のその後の傾向を見ると、緊急事態でなければ一考の余地がありそうです。
特に女性は正社員に戻れないもしくは戻らない人が非常に多く、これには出産を期に一度離職してしまうと小さな子供を抱えた状態での就職や勤務が非常に難しいことが影響していると言えます。
また仕事に対する不満は給与や職場環境、遣り甲斐など人それぞれですが、結局どの仕事にも満足感を得られずに短期間で転職を繰り返す人は少なくありません。
年齢を重ねるにつれ「○○職を3年以上」など一定のキャリアを積んでいることが応募条件に加わります。
その結果徐々に選べる仕事が少なくなり、人手不足が深刻なブラック企業への就職を繰り返す悪循環に陥る場合もあります。
あまりに早い段階での離職は今後のキャリアに傷をつける恐れがあることに注意しましょう。

当たり前ですが一番良いのはブラック企業に入社しないことですよね。
そう分かってはいてもうっかりブラック企業に入社してしまう人の特徴として、事前の情報収集が十分でない場合、他に内定先が無かったため就職先を決めてしまった場合などが多かったです。
内定を得た後に、正当な理由もなく企業側から一方的に内定を取り消されるということは滅多にありません。
印象を悪くするかもと悩まずに沢山質問をする、転職サイトや中途採用の口コミ情報も活用し、入社を決める前に熟考した方が良いでしょう。
残業や休暇に関することはもちろん、女性は産休や育休制度の有無だけでなく、実際にそれを利用している社員がどれほどいるのか、復職後どのように勤務しているかまで聞けると安心ですね。

さいごに

「深刻な人手不足で休みが取れなさそう」「人間関係が希薄そう、社員間の競争性が高そう」などの要素は事前にしっかり人事担当者や社員とコミュニケーションを取ることである程度知ることができます。
ですが実際に入社してみないとわからない隠されたブラック企業を見分けるのは至難の業です。
企業の悪い条件は隠されていることが多く、それを見抜く前に「早く就活を終わらせたい」「せっかくもらった内定だから」と安易に入社承諾をしてしまった人ほどトラブルに遭っています。
入社後の自分を守るためにも与えられる情報だけではなく、積極的に情報を集めて就職先を判断しましょう。