mixiの軌跡〜衰退から売上2,000億へ〜

mixiは衰退したのか?

みなさんがmixiと聞いて思い出すのは、2000年代前半に大流行したSNSサービス「mixi」でしょうか。SNSブームの火付け役となったサービスでしたが、その後様々なSNSの誕生によって勢いを失ってしまいました。しかし現在株式会社ミクシィは、年間売り上げ2,000億とも言われる企業に成長しています。今回は衰退から売上2,000億へと成長した株式会社ミクシィの、成功の秘訣について書きたいと思います。

mixi誕生から現在までの歴史

2004年に始まったSNS「mixi」は、たった3年で会員数1,000万人を突破しました。しかし2011年以降は、海外発のSNSにシェアを奪われ、2013年には赤字となってしまいます。そこでmixiはこれまでのソーシャル部門に加えて、モバイルを中心としたゲーム部門に力を入れる事にしました。そしてターニングポイントとなったのが、新感覚RPGゲーム「モンスターストライク」のリリースです。2013年10月に発表されたこのゲームのヒットによって、mixiの株価は1ヶ月で7.5倍へと膨れ上がりました。そして急速に業績を伸ばしていったmixiは、2016年度には2087億9900万円という売り上げ高を発表しています。

mixiによる、大ヒットを記録したアプリ「モンスト」の誕生


出典:http://masterminds.org/wp-content/uploads/2016/01/mastermind.jpg

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モンスターストライクこと通称モンストは、自分のモンスターを指で引っ張って弾き、敵のモンスターに当てることで倒していくRPGゲームです。このゲームの最大の特徴は「マルチプレイ」と呼ばれる、最大4人まで同時に遊べる協力プレイでしょう。スマートフォンの特徴を上手く利用し、気軽に誰でも遊べるゲームで爆発的な人気を博しました。2013年にリリースしたこのゲームは、瞬く間に話題のアプリになりました。そして「Google Play 2014年ベストゲーム」をはじめとして、「ファミ通アワード2014 2015 優秀賞」「日本ゲーム大賞2015 年間作品部門 特別賞」など多くの栄えある賞を獲得しています。

 ここで特筆したいのは、もちろん斬新なゲーム内容もさることながら、そのメディアミックスの展開でしょう。動画共有サービス「youtube」を通じて誰もが見ることができるアニメは新たなファンの拡大につながり、2016年12月には劇場版アニメ「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所」を公開するまでの人気作品となりました。そして大型音楽フェス「サマーソニック」へ専用ブースの設置や、他のメディアとのタイアップ、そして飲食店とのコラボレーション商品を開発など、多方面で積極的な展開を行ってきました。モンストの成功はゲームアプリだけでなく、アニメ、キャラクターグッズなど、多様な展開の成功にあるでしょう。またアジアや北米など海外にも展開しており、これからも業績の成長が見込まれています。

mixiによるモンスト以外の新たなサービス(アプリ)例


出典:http://publicdomainq.net/images/201611/15s/publicdomainq-0002672dqm.jpg

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モンスト以外にも、ミクシィはあらゆるサービスを運営しています。ここではその中で4つのサービスに絞って、紹介したいと思います。

(1)「minimo」

「minimo」は、美容師やネイリストなどのスタッフと直接連絡をとりあい、予約や施術前の相談をすることができるアプリです。特別価格やモデル募集などが魅力的なサービスで、女性を中心に支持を集めています。

(2)「チケットキャンプ」

500万人の利用者数を誇るCtoCサービス「チケットキャンプ」も、子会社である株式会社フンザが運営しています。チケットキャンプとはチケット専用のフリマアプリです。リクエスト機能や定価以下チケット、席種の選択など、今までにはない機能の充実によって国内トップシェアを誇るサービスに成長しています。

(3)「マーベルツムツム」

モンスターストライクを担うX FLAGからリリースされた「マーベルツムツム」も好調です。2016年には利用者が300万人を突破しており、マーベルという特性を生かして海外展開も積極的に行うと発表されています。

(4)「きみだけLIVE」

「きみだけLIVE」も斬新なコミュニケーションサービスだと言えるでしょう。この「きみだけLIVE」では、申し込みをすると、オンライン上でアーティストが1人(もしくは1組)に向けてライブが行われます。今までには存在しなかった「ファンがアーティストを独占することができる」という新たなサービスで人気を博しています。このようにミクシィはゲームを主軸として、インターネットの特徴を生かした数々のサービスを展開しています。

mixiは世の中に「新たな文化」を創り続けるmixi


出典:http://career-theory.net/wp-content/uploads/2016/04/Fotolia_92222206_XS-301x214.jpg

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 mixiは売上高2000億円を超える企業として、今も成長を続けています。2004年には国内で圧倒的なシェアを誇るSNSを創り出し、衰退を経た後、2013年には爆発的な人気を誇るスマホゲームをリリースしました。ソーシャルメディア事業からゲーム事業に主軸は移っても、企業にブレがあるわけではありません。そこに共通することは、常に時代の流れを先読みし、世の中のニーズを汲み取り、「新たな文化」を創り上げていることです。

 またそのサービスをより一層世の中に広げていくための、マーケティング戦略にも成功の鍵が隠されていると言えます。キャッチーなCM広告もそうですが、メディアミックスやタイアップ等、積極的なアピールでその知名度を伸ばしています。また国内市場だけをターゲットにせず、グローバルに展開していることも成功した理由のひとつかもしれません。これからもmixiは、新たな文化を創り上げ、そして世界に発信し続けることでしょう。