サッカーに導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)、その是非はいかに?

VARの導入でサッカーはどう変わる?

昨年11月にフランスのリールで行われたサッカーの国際親善試合、日本対ブラジル戦。1-3での敗戦は世界との差を見せつけられる結果となりました。この試合で日本代表戦では初めてビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されたのです。従来の審判のシステムに加えてビデオを用いての判定によって、日本代表は前半10分、ブラジルにPKを与えて先制される苦しい展開となりました。

2016年のクラブワールドカップで大会として初めてVARが導入されて以降、このような試合の流れを変える場面における判定のあり方について世界中で様々な議論がなされています。VARの仕組みや導入によって、サッカーがどのように変化するのかを解説していきます。

1.サッカーにおけるVAR導入の動向

近年、様々なスポーツにおいてビデオ判定が導入されています。野球やバレーボール、テニスの試合等で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。審判員の目で確認できない微妙なプレイに対してビデオ判定は以前から導入されていますが、サッカーにおいても導入が検討されています。

サッカーの試合では、通常主審1人と副審2人(場合によっては第4の審判員、第5の審判員が配置される)によってジャッジされます。現状では、試合中に審判団は様々なプレイを目視のみで素早く裁かなくてはなりません。しかし、その代償としてハンドやオフサイドが見逃される、軽微なコンタクトでレッドカードが出されるなど、選手やチームを応援するサポーターにとっても釈然としない判定が実際には頻繁に起きているのです。

そこで、2016年以降サッカーの複雑な動きのなかでジャッジの公平性を期すため、従来の審判員に加え新たにビデオルームで映像を解析するシステムが国際サッカー連盟(FIFA)やオランダサッカー協会(KNVB)などによる公式戦への試験導入が始まりました。現在はまだテスト段階ですが、2018年、あるいは2019年に正式ルールとしてVARを導入するかが決定されます。

IFAB(国際サッカー評議会)が定めたVARによる判定の基本原則と運用プロトコルによると、

  • 最終判断は常に主審が行う
  • ゴール、PK、直接レッドカード、選手誤認の「試合を変える4つのケース」の判定での明確な誤審の修正、または重大な見逃しの確認にのみ許される
  • VARが介入できるのは上記のケースで「明確な誤審」があったと判断できる場合

といった規定がされています。

2.VARがもたらす変化と賛否

ドイツ・ブンデスリーガでは今シーズンからVARが導入されています。しかし開幕からVARの使用基準が曖昧なため、多くの混乱が起きています。その1つが、今年度のブンデスリーガ第8節、日本代表FWの大迫勇也選手が所属するケルンが同じく日本代表FWの浅野拓磨選手が所属するシュトゥットガルトと対戦した試合です。1-1の同点で迎えた後半43分、ケルンFWギラシー選手がPA内で倒され主審はPKの判定を下しました。しかしVARの助言を受けた主審が映像を確認した結果、ノーファウルに判定を変更しました。

ドイツ・ブンデスリーガにおけるVAR導入を推進していた元レフェリーのヘルムート・クルーク氏は、当初「明らかな誤審が生じた場合のみに用いる」と発表していました。しかしケルンのスポーツディレクターは、この試合での判定に「ボディコンタクトはあった。明らかな誤審ではない。なぜビデオ審判団は割り込んできたんだ。」とコメントを残しています。

さらに選手側からもVARの導入に否定的な意見が…

大迫選手は「機械に裁かれている感じがする」とコメントをしています。また、ドイツ代表MFサミ・ケディラ選手は「VARはいいこと」と前置きした上で、ビデオ判定中の時間に選手はピッチ上は何もできないことを危惧しており、ルールや基準の明確化を求めています。

一方審判団はVARの導入には前向きな姿勢を示しており、プレミアリーグなどを担当していた元レフェリーのハワード・ウェブ氏はVARは他の何よりセーフティネットになるだろう」と賛成派の意見を述べています。

まとめ

これまでや現在もサッカーの判定は人間が行っており、VARによって判定が覆ることに抵抗を感じるファンや選手がいることは事実です。また、VARの使用によっ、試合の流れを妨げることにもなりかねません。

導入に際して解決すべき問題が数多くある中、Jリーグでも来シーズンからの導入が検討されています。また、今年ロシアで開催されるワールドカップでもVARが使用されることは濃厚です。VAR導入の流れは止まることを知りません。このような状況から、今後サッカーに関わる全ての人がVARに適応する必要性が大きくなると言えそうです。




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