政治学専攻大学生が教える。衆議院解散ってどうなるの?

衆議院解散 どうなる

衆議院解散、これからどうなる?

皆さんは衆議院解散についてどれくらい関心がありますか?日本では政治に無関心な若者が多いと言われている中、国民として選挙権を持ち、これからの日本を担う若者こそ、政治において実はとても重要な役割を果たします。そこで今回、自身が政治学を専攻する大学生でもある私が、今話題になっている衆議院解散について、自分なりの分析を入れながら解説していきたいと思います。

1.7条解散と69条解散

衆議院解散 どうなる

衆議院の解散には2つのスタイルがあることをご存じでしょうか?

「7条解散」「69条解散」です。

そして2017年秋、今回行われる解散は「7条解散」にあてはまります。以下が憲法7条の条文です。

天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

1号 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

2号 国会を召集すること。

3号 衆議院を解散すること。(以下略)

引用:衆議院解散どうなる?:衆議院ホームページ<日本国憲法>

天皇の国事行為は、内閣の助言と承認を必要とすることを根拠にした解散です。つまり、「与党の裁量で解散できる」ことが「7条解散」の現状です。

2.革命の衆議院選挙

衆議院解散 どうなる

9月25日夜、永田町が動きました。衆議院の解散を「国難突破解散」と銘打って行うと会見を開きました。

安倍内閣総理大臣が挙げたのは、消費税を10%に上げることを前提とした、その使い方としての「生産性革命」「人づくり革命」です。これを解散の大義として、国民に審議を問うということです。

「生産性革命」「人づくり革命」とはつまり、消費増税で増えた収入を、国の借金の返済から幼児教育の無償化等の、全世代型の社会保障に切り替えていくというもの。それに引き換え、2020年までのプライマリーバランスの黒字化は難しいと明言。とてもリベラル的な経済政策であると言えます。

外交に関しては、北朝鮮に対して圧力を強めていくと述べ、米トランプ大統領やロシア・プーチン大統領との親密さを見ても、日本ができる範囲で安定感のある外交を実現してきました。

しかし、これまで与党の目標と挙げていた「憲法改正」には、今回触れることはありませんでした。「憲法改正」は重要な論点になることは言うまでもなく、党としての考えを国民に対してはっきり打ち出してほしいと私は思います。

3.どうなる?民進党

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民進党の新代表、前原誠司が代表選で掲げていたものは「ALL FOR ALL」

つまり、自己責任社会からの脱却です。これは安倍政権が掲げたものに通じるものがあります。

前原氏は以前から自衛隊を憲法に加える加憲の立場をとっており、共産党との野党共闘(野党が候補者を一本化し、自民党との1対1、あるいはそれに近い形にもっていくこと)には後ろ向きではありましたが、選挙に向けて共闘の形を模索しています。

また、数か月前までは衆議院解散を訴えていましたが、解散権の制限を公約に盛り込むような話も出ています。自民党には打ち出せない社会像を描けるか、与党との違いをはっきり示せるかどうか、というところが問題になってきます。

4.どうなる?希望の党

衆議院選挙 どうなる

小池百合子が国政政党「希望の党」を立ち上げました。

公約としては、情報公開や女性の社会進出を挙げた保守政党で、「日本のこころ」の中山恭子代表や自民党の福田峰之内閣府副大臣も新党に参加すると表明しています。民進党の離党者が主な構成員になるとされていましたが、新しい保守の出現が見えてきたようです。

自民党は信用できないが他に選択肢がない、という有権者や、都政での躍進を支持する者などからの、一定の需要はあることが見込まれるでしょう。しかし、私は党としてのビジョン・理念が明確に見えないことが懸念点だと考えます。烏合の衆にならず、継続的な政党になることを期待したいです。

また、これからどこの政党と協力していくかということも注目です。安全保障の考え方は安倍首相と小池百合子氏が一致することを確認しており、自民と希望の大型連立政権が誕生するかもしれません。

一方で、現在小池氏は自民党を「大義なき解散」と批判しており、首相指名について「公明党・山口那津男代表がいい」と発言しています。これは他の野党との協力体制を模索しているようにも見えます。

衆議院解散、どうなる?まとめ

小池新党「希望の党」の誕生で、ますます選挙の構図が見えづらくなりました。これから各党ともマニュフェストが出揃ってくるだろうと思われます。今回の主な争点は:

・消費増税とその使いかた

・北朝鮮

・憲法改正

だとされていますが、いずれも私たちの生活に密接に関わる需要極まりないものです。政治は永田町だけで行われるものではありません。これまで政治に対して関心がなかった方、また忙しくてあまり選挙に参加することを重視していなかった方も、この機会に国や社会のことを考え、投票箱に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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