【時事ネタに使える!】フランスでも話題!徴兵制について一挙紹介!

「徴兵制」は昔の話ではありません!

「徴兵制」と聞いてどの様に感じますか?
「いつの時代の話だよ」と感じる方もいるのではないでしょうか。
日本は戦争から守られている国ということで普段耳にすることはありませんが、他国では現在も徴兵制が存在しています。

徴兵制とは何か

徴兵制とは「国家が国民に兵役に服する義務を課す」制度です。
言語上では志願兵(募兵)制の対義語です。
そもそもの始まりとして、国民に兵役を義務として課す制度は古代にまで遡ります。中国では古くから存在し、日本でも奈良時代に実施されていました。但し、現在の概念のいわゆる「国民皆兵」による徴兵制は、フランス革命から始まったと言えます。

フランス革命以降、国家は王ではなく国民のものであるという前提(国民主権)になったため、戦争に関しても王や騎士など一握りの人間ではなく、主権者たる「国民全員が行なう義務」があるということになったという経緯があります。この時点から多くの若者を対象とした制度として発展していきました。

徴兵制のメリットとデメリットって?

徴兵制のメリット

徴兵制度は国民の義務として導入される性質のものであり、職業軍人と異なり徴用された兵には十分な勤務対価は支払われないのが通常でした。

このため、かつては給与(人件費)を抑えるため、すなわち費用面において人件費の抑制が期待できると考えられていました。また一部の貧困層の若者に対し、雇用対策面での寄与があるというメリットもありました。

徴兵制のデメリット①

現代の軍隊においては、運用費や装備品などの給与・人件費以外の費用が多いため、よほど徴用兵の給与水準を抑えない限り経費節減の効果は限定的だとされています。

何故そこまで費用がかかるのかについては、軍の特性に関係があります。
軍では要員すべての宿舎・衣服・食事の用意、兵器・装備品の充足などが必要であり、直接の軍事行動にあたる兵員以外の事務処理や教育・監督なども必要です。

要員数は兵員の数に比例するため、ここまで費用がかかってしまうのです。
一部の貧困層の若者が志願兵になるメリットと背中合わせという側面でもありますね。

徴兵制のデメリット②

徴兵制は、国富・国家財政の視点からも問題が多いと言われています。
若青年層を網羅的に徴用することで、若者や学生の就労上や学究上のキャリアの断絶につながるという視点です。

直接的には数万単位の若年労働力が労働市場から隔離されることで、労働コストの上昇や生産力の低下を招く可能性が指摘されています。

また徴用兵に対する国庫負担が生じる一方で、徴用された若者が納めるはずだった所得税等が国庫に入らなくなるという部分も指摘されています。

日本の徴兵制の歴史

引用元:http://o-dan.net/ja/

明治維新後に徴兵制が施行

江戸幕府が崩壊し身分制度が廃止されると、明治維新の影響で1873年に国民の義務として徴兵令が出され、大日本帝国憲法第20条に兵役の義務がに盛り込まれました。

徴兵令はそれまで軍事に関する権益を独占していた武士(士族)の特権を奪うものと認識されていため、頻発した士族反乱の原因の1つとなりました。さらに徴兵令の対象となった平民の若者からも不満が出て、一揆などの騒動に発展したそうです。

太平洋戦争時の徴兵制

太平洋戦争時は、戦局の激化につれ現役兵としての期間を終えた後の予備役、後備役にあった元兵士も召集令状によって召集され、大戦末期の昭和20年には徴集率は9割を超えていました。

通常、現役での徴兵を「徴集」予備役・後備役での徴兵を「召集」と呼んで区別されていました。

さらに戦争末期になると兵力不足が顕しくなり、文科系学生への徴兵(学徒出陣)や熟練工、植民地の人の多くの若者を対象に徴兵が行われました。

海外の徴兵制事情

引用元:https://unsplash.com/@nimor

ヨーロッパで徴兵制が復活!?

フランスのマクロン大統領が2018年1月19日の年頭演説をした中で、2001年に廃止されていた徴兵制度を復活させる考えを示しました。これは、相次ぐテロの脅威に備えるため、18歳から21歳の男女(約60万人)が対象とされています。(HUFFPOST「徴兵制、フランスも復活へ マクロン大統領が表明 18~21歳の男女対象」より引用)

概要は、対象の若者を1カ月の兵役に参加させるというものです。マクロン大統領は、2017年の大統領選でこの内容を公約に掲げていました。また、スウェーデンは対ロシア政策で徴兵制を7年ぶりに復活させています。

現在の徴兵制の動きって?

戦争の近代化と兵器の機械化・精密化・自動化の進展は、軍隊の省力化と定員の減少をもたらしました。この定員の減少によって大量の若者(学生含む)に対する新兵募集は不必要となり、訓練にも費用が掛かり過ぎるなどの理由により徴兵制度の存在意義は低下しました。

現在の各国の動向

引用元:http://o-dan.net/ja/

西ヨーロッパ諸国は冷戦終了後から2000年代初頭にかけて次々と徴兵制を廃止し、イギリス・フランス・イタリア・スペイン・ポルトガル・オランダ・ベルギーなどは志願制に移行しています(アメリカは1973年に廃止、フランスは前述の通り)。アメリカを始めとする軍需産業国では、無人兵器の開発・投入も進んでいるようです。

旧社会主義国だったチェコやスロバキア、ハンガリー、ルーマニアもEUやNATOへの加盟とほぼ同時に徴兵制を廃止しました。

徴兵制の廃止が進む中、中国では志願兵を主要として少数の徴集兵を組み合わせた志願・徴兵並立制に移行しています。ロシアでも、志願制の採用が本格検討されています。

アメリカの資料によると、現在では軍隊等を保有する約170か国のうち約67か国が徴兵制度を採用しているとされています。

最後に

いかがでしたでしょうか?基本的に先進国と言われる国ほど、従来の人を投入する軍隊の在り方が戦術面、戦略面ともに兵器の進歩とも相まって矮小化(わいしょうか)してきています。
これにより徴兵制での若者の徴用は、概ね減少している傾向にあるといえます。
テクノロジーを持たない先進国以外の地域や国家では従来の人海戦術的な軍隊の運用を継続せざるを得ず、翻って若者への徴兵が未だ当たり前に行われているという格差が生まれています。
アメリカは志願制ではあるものの、多くの志願兵は貧困であるが故の志願が多く、有色人種の若者の比率が高くなっているという現状があるのは事実です。