「22卒が味わう地獄の大学生活、いよいよ現実味を帯びてきた。」

前代未聞の試練が一気に訪れる

経団連は9日、いわゆる「就活ルール」と呼ばれる採用情報や面接の解禁日などの規定の撤廃を正式決定しました。これにより、採用情報は3月1日、面接は6月1日以降という決まりがなくなり、企業は採用したいときに人材を採用できるようになります。一方で21卒以降の学生たちの大学生活はこの決定を機に大きく変わることが予想されます。中でも大きな影響を受けると考えられるのが22年卒の大学生たちです。彼らの大学生活に、そして就職にはどのような試練が待ち受けることになるのでしょうか。

22卒特有の悩みになりそうな2つの外部的要素

22卒を苦しめる試練1. 前代未聞の就活が始まる

所謂、「就活ルール」の撤廃によって22年卒の大学生は誰も経験したことのない就活を行うことになりそうです。これまでは、経団連に属する企業は採用情報の解禁が3月1日、面接の解禁が6月1日と決まっていたため、まとまった期間でまとまった数の企業の採用活動に参加することができました。これによって大学の時間割なども就活と融通が利くように調整することが可能でした。しかし、このルールが撤廃されることによって企業ごとに面接の時期はバラバラになる可能性が高くなります。この場合、4年生の3~6月が就職活動という常識がなくなり、3秋までに必要な単位を取り切って就活中は大学に行かなくて済むように、というような計画的な時間割も効果が小さくなります。そして、3年生の時期から授業を休んで必要な時に就活をせざるをえない学生が増えてしまいます。

学生たちは常に企業の採用活動の動向をチェックし、なおかつ企業のタイミングに合わせてESの執筆や面接を行う必要があります。現時点でも経団連に属していない企業では、すでに大学3年目の学生を早期で内定を出すケースも少なくありません。これらの企業で就活をする学生の中には授業を休んで面接に行く人もちらほら。その中で、すべての企業が好きな時期に採用活動を行うとなれば、大学の授業の出席と就活の両立がよりハードになります。大学の授業に没頭すれば就職先に困る、就活に注力すれば大学の単位が危なくなる、といったことが起きかねません。このような「カオス」な就活を体験するのは22卒が初めてで、現行のシステムで就活をしてきた21卒以前のOB・OGたちの助言もどこまであてになるかもわかりません。22卒の学生たちは、時間の余裕もヒントもない中で就活に臨まなくてはならないのです。

22卒を苦しめる試練2. 東京五輪のボランティア問題

21~24卒の学生にとって悩ましくなるのが、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックのボランティア問題です。炎天下で2週間の間1日8時間、ほぼ無給で競技の開催を手伝うという過酷とも言える内容への批判が殺到していますが、もちろんこのボランティアは任意参加で、参加しないという選択肢をとることも可能です。参加したい人は今年の12月までに専用のWeb上で応募をすることでボランティアに参加することができます。とはいえ、大学生にとってはボランティアの存在自体が就活に関わる懸念があることも覚えておかなければいけません。というのも、ボランティアは任意参加ではありますが、文部科学省やスポーツ庁は大学生がボランティアに参加しやすくなるように、大学に対して試験や授業を早期に終了するよう文書で要請を行っていることが明らかになっています。(日本経済新聞 8月16日報道)加えて、NHKの調査によればボランティアの参加で単位を認めることを検討している大学があることも判明しています。つまるところ、政府は大学生にボランティア参加を促す意図があると考えられますが、大学生にとってはまとまった夏休み期間が就活をするための貴重な時間でもあり、かつ就活ルールも撤廃されることから大学生が時間をとれる夏休み期間中に採用活動を行う企業も必然的に多くなることが考えられます。そうなれば、ボランティア参加と就活を同時に行うハードスケジュールを課せられる学生が出ることになります。さらに究極を言えば、ボランティアを選べば人材を採用したい企業から恨まれる、就職を選べばボランティアを推進したい国から恨まれるという板挟みに遭うことになるのです。無実の学生が肉体的にも精神的にも大きな負担を被りかねない状況はいかがなものなのかと疑問を抱かざるを得ません。

これからの大学生共通の悩みも増えてくる、、、

試練3. バイトの門戸が狭くなる?

10月に入り、厚生労働省が新たに定めた都道府県ごとの最低賃金が発効され、最低の時給の金額が各都道府県で24~27円上昇しました。これは、アルバイトをやる学生にとっては、例えば週に10時間ペースで働けば月給が1000円程度ですが増えるので、多少なりとも一見ありがたい話に見えます。しかしながら、従業員を雇う企業や店舗にとっては当然ながら人件費が増えることになるので財政を圧迫するものになりかねません。そこで、雇用する人材の数を減らす、求人を少なくするといった形でコスト削減が行われるようになる可能性が大きくなります。日本と同様に最低賃金の引き上げを行った韓国では今年の8月に青年失業率が10%を超えるなど、アルバイト就業者の減少が問題視されています。もし日本でも同様のことが起きれば、アルバイトで働いて稼げる大学生が少なくなることも十分に考えられます。

試練4. 消費増税による支出増

政府は、2019年の10月にも消費税の8%から10%への引き上げを予定しています。5%から8%に引き上げられたのも記憶に新しいと感じるのも束の間、今度は1080円の値札が1100円に姿を変えていくことになります。一部軽減税率が導入される品目(外食、酒類を除いた飲食料品など)を除き、基本的には全ての消費財への支出が結局は増えることになります。大学生活では、パソコンや服飾、外食や交通費など学業や人間関係を安定させるために欠かせない消費財への支出がどうしても高くなります。それら一つ一つの値段が高くなると、塵も積もれば山となり、これまで以上に支出が嵩むか、学びや遊びのために必要な支出を制限しなくてはいけません。「大学生活を思いっきり楽しむ」ことが例年以上に難しくなり、金銭的に苦しむ学生が多くなることが予想されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。そもそもこれからの大学生活自体が「稼ぎづらい、でもお金はどんどん飛んでいく」ものとなっていく可能性が高く、さらに22卒にはそれに追い打ちをかけるように前例のない就活や、その就活が視野に入る時期での東京五輪のボランティアの問題が襲い掛かるのです。それを早いうちに自覚することが、このような地獄の大学生活を乗り切る第一歩です。その上で、これからの大学生活で起こりうることを想定し、対応できるように常に心身ともに準備しておきましょう。