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バズるサービスを考える
社会人1年目で入社時から事業部長、大学生向けメディアJobbyを運営し、変態人事としてコアなターゲットに一躍知られるようになった坂本悠貴。大学卒業から約半年、現在24歳になった坂本は、「大学生」というアイコンを捨てた代わりに数多くの「顔」を手に入れた。営業ディレクターとしてクライアントの舵取りを担う一方、自社の人事もこなし、社内100人の大学生の採用担当としても活躍する。インターネット上では「炎上も怖くない」と積極的に情報発信を続ける坂本は、未来にどんな展望を描いているのだろうか?そんな彼に2017年バズるサービスを尋ねてみた。
今回、坂本が運営するJobbyの「2017年大学生に流行るもの調査結果」をもとに、坂本の見る大学生のトレンド動向についても聞いた。
「大学生と企業の橋渡し」坂本悠貴の仕事内容とは?
坂本悠貴大学4年生の時、やりたいことが8個くらいあったんです。大学生の教育もしたいし、面白いコンテンツも配信してみたくて。全部やるにはどうしたらいいか、って選んだのがメディアなんです。
当時23歳、メディア立ち上げのきっかけをあっけらかんと言ってのける坂本。自身が編集長を務める「Jobby」では大学生たちのトレンドをリサーチし、企業の商品開発やイベント企画などにつなげていくことを視野に入れています。しかし過去のプロデュース実績は全くないという。
その中核を担うのは80人にもおよぶ現役の大学生リサーチ集団「Jobbby調査隊」。坂本が自ら「女性に甘い面接」を実施した上で選ばれたトレンドに敏感な現役の大学生たちがリアルな情報を拾い上げて坂本に届ける。
坂本悠貴数万人にばらまく大規模なマーケティング調査とは違って、80人がそれぞれ友達や知り合いから『これが面白いよ!』『これがめっちゃ流行ってるよ』と口コミ情報を収集してきます。そのリアルな情報が強みですね。
その情報を元に坂本が企画を練り、大企業とのビジネスに繋げていく。(予定)
坂本悠貴時には大学生のリアルな意見が大企業のおじさんには理解できないようなこともあります(笑)そんなときは、僕が大学生たちとおじさんをつなぐ通訳となります。
では「リアルな大学生たちの声」を拾い上げ、分析した結果「2017年にバズる3つのキーワード」を坂本が語ってくれた。
リストを一見しただけでは、どんな動向が大学生の間で起きているのか、検討がつかない。坂本は、このリストから3つのキーワードを見つけることができるという。
キーワード1:YouTubeのハブ化 同時に投稿ハードルの上昇
坂本悠貴やっぱり大学生たちのスマホの中でも最も大事な位置を占めているのがSNS。
しかし、Jobby調査隊の生の声として、「Twitterは公共の場なのでツイートをする時は慎重になるし、長い時には30分以上ツイート内容を考えていることもあります。」とあるように、昨今の大学生の間では、JKJCの時とは違い、ただ発信するだけではなく発信の内容にも気を使うみたいです。
YouTube、Twitter、Instagramで流行りのものをサーチする事には変わりないですが、「簡単につぶやける」はずであったTwitterの敷居が上がってきつつあるようですね。
大学生にはなっても自己顕示欲はあるので、2017年は、既存SNSよりさらに手軽に投稿でき、3時間で投稿が消える「PROF」に流れるのではないかとJobby調査隊では考えています。
キーワード2:「お金がない」から派生した、それでも大人に対する「憧れ」の追求。
坂本悠貴基本的に大学生はお金がありません。そういうと語弊があるかもしれないので補足をすると、今の大学生は情報収集能力が高いので「お金をかけずとも、無料または安価に手に入れることができるもの」に対してはお金は払いません。その象徴的なアプリがminimoです。
minimoのサービスは通常5,000円〜10,000円の施術を無料で受ける事ができ、これはカットモデルとして「少し我慢する」ことでお金をかけずにサービスを受ける事が出来ます。もちろん、本来は大人と同じようなサービスを利用したい、受けたいという願望はありますが、「少し我慢する」だけで同等のサービスを受ける事ができるということで、より近い存在になった「大人」への憧れの欲求を満たしています。むしろ、周りの人とは違う、正規のルートではない方法で「大人」と同じサービスを受けれることに優越感に浸り、SNSなどで発信することが多いです。
キーワード3:大人たちの間で流行ると嬉しいのが大学生
坂本悠貴そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、大学生たちは「自分たちがハマっているものに大人がハマると嬉しい」と思っているということ。今の10代に限らず、この世代ならではの普遍的なことかもしれません。
大学生たちが流行に向ける視線。その最も顕著な例が「ハロウィン」です。今年のハロウィンイベントは、非常に盛り上がっており、特に年々大学生の参加割合は高まっています。渋谷が仮装パレード化したのは2010年からと言われており、大学生を中心とした若者が、「仮装して渋谷へ繰り出そう!」とハロウィンの夜に集まったことから、日本のハロウィンはあっという間に火がつき、20歳以上の大人のためのイベントに独自に進化、今年の市場規模は1453億円とバレンタインデーを超えるまでに成長しています。自分たちがきっかけで成長したイベントで大人たちが盛り上がることで、大学生たちは大人の仲間入り、いや大人より勝っている優越感が得られるのです。
渋谷のハロウィンの様子。今年は大学生を中心に大いに盛り上がりを見せた。
「炎上上等」「最終的に成功すれば失敗なんてない」坂本悠貴の仕事の哲学
「僕自身、大学生たちと日頃からコミュニケーションをとったり、仕事以外でも相談に乗ったりしているので彼ら彼女らの些細な変化がわかるんです。」と自身の強みを語る坂本。だがその強みを活かし、ビジネスに繋げたことは未だないそうで、今後数多くのトラブルがあるであろう。
Jobby立ち上げ当初、変態人事として一躍注目を浴びた反面、多くの「アンチ」からの批判も寄せられた。人事にはさぞかし辛いと思いきや、「炎上、上等って感じです。(笑)企業の人事が下心丸出しで女子校の文化祭に行ったらそりゃ叩かれますよね。でも僕、最終的に成功すれば、“失敗”なんてないと思っています」
だが、久しぶりに会った女性に、「坂本さんってそういう人だったんですね。」と言われたときには珍しく落ち込んだという。
弱冠24歳、転んでもただでは起きないタフネスを身につけつつある。Jobby立ち上げから約半年、これから坂本はどこへ向かうのか。「将来的には『大学生のことなら坂本に聞け』って言われるくらいメディアを大きくしたい」壮大な目標をこともなげにいってのけるが、そこにギラついた野心が隠されているワケでもない。
常に想像の斜め上を行く変態人事、坂本悠貴。ネットではとやかく言われることが多い坂本だが、実際に会ってみると坂本の底知れないバイタリティを感じた。これからも躍進する彼に注目していきたい。
写真:Jobby撮影班
ライター:坂本悠貴
坂本悠貴:1992年生まれ。北海道出身。中央大学商学部を卒業し、現在株式会社アッドラストで1年目から、メディア事業部部長と人事責任者を兼任。現在、デキる学生御用達メディア「Jobby」を運営。大学生のマーケティングチーム「Jobby調査隊」を発足し、大学生向けのプロデュース事業などを手がける予定。
参考サイト:JKJCたちの本音とは? 椎木里佳が予測する「2017年、これがバズる」
(http://www.oricon.co.jp/special/49594/)