「就労に法律ってどんなのがあるの?」
「社会人になってからの環境に不安がある…」
このようなことを考えてはないでしょうか?
これから社会人になる大学生にとって「就労に関するルール」を知っておくことは自分の身を守る上でとても重要なことです。
日本では、労働者の権利を守る労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)が定められています。
今回は、労働組合法について解説していきます。
最後までご覧いただくことで、労働組合についての知識や労働組合に加入するメリット・デメリットまで理解できますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
労働組合について知っておいた方が良い理由は?
労働組合は加入する・しないに関わらず、すべての人が知っておくべき制度です。
なぜなら、労働者が自らを守るには個人の力では及ばないことがあるからです。
特に、これから社会人になっていく大学生には早いうちに知っておけば、いざという時に役に立つ知識です。
それでは、労働組合法について解説していきます。
労働組合法とは?
「労働組合法」は、労働者と雇用者を対等の立場になることを促進し、団体組織として労働条件の交渉や手続きを行うことを目的とした法律です。
「労働組合」は労働者が主体となり労働条件の改善や経済的な地位を向上させるために組織した団体のことを指します。
つまり、雇用者よりも立場の弱い労働者が団結して雇用者と対等に交渉することが目的です。
個人が加入できる労働組合は2種類
個人が加入できる労働組合は、「企業別組合(単位組合)」と「合同労働組合(ユニオン)」の2つの組織です。
それぞれには以下のような違いがあります。
組織 | 組織の構成 | 特徴 |
企業別組合 (単位組合) | 同じ企業の労働者が集まっている | その企業内の労働環境や待遇などについての改善を図る |
合同労働組合 (ユニオン) | 複数企業の労働者が集まっている | ・企業別組合がない中小企業の労働者の加入割合が大きい ・雇用形態に関係なく加入できる |
従業員規模の大きい企業より、中小企業の方が企業別組合がないことが多い傾向にあります。
そのため、自分が働いている企業に企業別組合がない場合は合同労働組合に加入するような流れになっています。
労働組合への加入は必須?
労働組合への加入は必須ではありませんので、個人の自由です。
しかし、労働組合と企業側でユニオン・ショップ協定を結んでいる場合は異なります。
ユニオン・ショップ協定を結んでいる企業に入れば、必ず労働組合に加入しなければいけなく、加入しない、または脱退した場合には解雇されてしまいます。
ただし、ユニオン・ショップ協定によって解雇にまで発展するのは、どの労働組合にも加入していない場合ですので、必ずしも企業側が定めた労働組合に加入する必要はありません。
労働組合の加入率
2020年年6月30日時点で、単一労働組合会員数は1,011万5千人です。(参考:令和2年労働組合基礎調査の概況|厚生労働省)
また、2020年の就業者数は平均6676万人です。(参考:令和2年労働力調査年報|総務省統計局)
つまり、労働組合に加入している人は全体の約15%、6人に1人が労働組合に加入していることになります。
労働組合に加入するメリット
ここからは労働組合に加入するメリットについて解説していきます。
不当な問題に対抗できる
労働組合に加入することで、不当な問題について交渉できることが大きなメリットです。
不当な問題の例を挙げると、
- 不当解雇
- 賃金未払い
- 残業代の未払い
- ハラスメント
- 職場内のいじめ
などがあるでしょう。
これらの問題は個人では対処できないことや、職場での上下関係などからもなかなか声をあげられない傾向にあります。
労働組合法によって、労働組合は不当な問題について企業側と半強制的に交渉を行うことができます。
そのため、個人では向き合ってくれないような問題についても、労働組合に加入していれば企業側に適切な対応を求めることが可能です。
経営層に意見を通しやすくなる
労働組合に加入することで、賃金や福利厚生についてなど、企業の経営層に意見を通しやすくなります。
特に、企業の規模が大きければ大きいほど個人の意見は届きづらい場合もあります。
しかし、労働組合は団体の意見として交渉できることに加えて、経営陣の考えや取り決め方を知ることができ、会社への理解を深めることも可能です。
働きやすくなる
労働組合に加入していると、困った時には助け合える仲間がいるという精神的な安心感を得られます。
また、労働組合の中には交流会などを開催している団体もありますので、他部署や他業種の人と関われる機会もあります。
このような横のつながりができることで、1人で抱え込まずにいられる環境を作れることも大きなメリットです。
労働組合に加入するデメリット
労働組合に加入するデメリットは以下の2つです。
組合費がかかる
労働組合に加入すると、毎月数千円ほどの組合費がかかります。
毎月金銭的な負担がかかりますので、加入を検討する際は無理のない範囲で考えるようにしましょう。
労働組合での活動に時間を取られる
労働組合で開催するイベントや組合活動の書類作成や企画などの作業が発生します。
仮に、日々の仕事で忙しい状況であれば、組合での活動自体がストレスになってしまう可能性もあります。
そのため、加入する前にはこのようなデメリットも許容できるか検討しておきましょう。
まとめ
最近では、雇用条件や職場環境が改善されてきている企業も多いので、労働組合に加入すべきかどうかは一概には言えません。
しかし、社会人になる上で必ず必要な知識ですので、今のうちに蓄えておきましょう。
この記事が少しでもあなたの役に立てば幸いです。