「これから社会人になるのに不安を感じている」
「会社が想像と違ったらどうしよう…」
このようにお考えではないでしょうか?
社会人を控えている大学生で、「いざ入社してみたらイメージと違うことがあるかも…」と不安に感じている方は多くいらっしゃるかと思います。
たしかに、初めて社会人になる方にとって未知の世界に不安を感じるのは当然のことですよね。
しかし、実際には法律に違反している会社があることも事実です。
そこで今回は、労働者の権利を守る「労働基準法」について簡潔に解説していきます。
最後までご覧いただくことで、上限を超える労働時間や残業代未払い、ハラスメントなどに関するルールについて理解できます。
社会人になる前に必ず知っておいた方が良い知識ですので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
就労に関する法律を知っておいた方が良い理由
就労に関する法律を知っておいたが方が良い1番の理由は、ご自身の心身を守るためです。
会社に就職して働くということは労働力を提供する代わりに賃金を保証する、という契約を対等に交わすことになります。
しかし、実際は労働者よりも雇用者側の立場の方が強くなってしまうことが多いでしょう。
雇用者側のパワーバランスが強くなってしまうと、理不尽な要求やハラスメント・不当な賃金・残業違反などの問題が起こった際に、労働者は声を上げられない可能性があります。
また、このような問題は社会人になったばかりで若く無知な従業員が受けることが多い傾向もあります。
そこで、このような問題を自分自身で「おかしい!」と認識できるように、まずは自分自身が労働に関するルールを知っておく必要があります。
労働基準法とは?
労働基準法とは労働者を守るために作られた法律です。
労働基準法では、労働契約、賃金、労働時間、休日や有給休暇、災害補償、就業規則などについての最低基準を定めています。
労働者の権利を守るために、これらの基準に違反した会社には罰則を与えられます。
また、正社員だけでなく、派遣社員、パート、アルバイトであっても全ての従業員に等しく適用されます。
労働基準法の主な内容9選
ここからは、具体的な労働基準法の内容について見ていきます。
労働基準法のすべてを紹介することはできませんので、今回はあなたが実際に働く際に重要となるような9つのポイントを選んで紹介していきます。
①労働基準法の明示について(第15条)
会社と従業員が労働契約を結ぶ時には、就業場所や賃金、労働時間、退職に関するなどの労働条件を明示しなければいけません。
また、これらに加えて賞与(ボーナス)や退職手当などは書面を交わす必要があります。
②賠償予定の禁止(第16条)
会社は従業員に対してたとえ労働契約を犯したからといって違約金や損害賠償金を請求するような契約を交わしてはいけません。
身近なものでいえば、無断欠勤や遅刻、退職時に〇〇円を払わせるなどを取り決めることです。
③解雇の予告(第20条)
会社が従業員を解雇(クビ)にする場合は、少なくとも30日前には従業員へ予告しなければいけません。
また、仮に30日前より直近で解雇の予告を受けた場合は、30日に満たない分の平均賃金を従業員に支払う必要があります。
例)解雇の10日に予告を受ける→20日分の平均賃金を受け取れる。
④賃金支払いの4原則(第24条)
働いた分の賃金は、通貨で直接労働者に全額を毎月1回以上、一定の期日を決めて支払わなければいけません。
下線の部分を賃金支払いの4原則と言います。
⑤休業手当(第26条)
会社の責任によって休業を命じられた場合には、従業員には休業期間中の手当を支払う必要があります。
具体的な休業手当が受け取れる例は、
- 経営状態の悪化による業務の減少
- ストライキ
などがあります。
また、休業手当は「休業日数×1日の平均賃金×60%以上」になります。
⑥労働時間の原則、休憩(第32,34条)
会社は休憩時間を除いて1日8時間、週40時間以上を労働させることはできません。
また、労働時間が6時間超えの場合は最低45分、8時間超えの場合は60分の休憩を与えなければいけません。
ちなみに、休憩時間は労働者に自由に利用させなければいけないことも決まっています。
⑦時間外及び休日の労働、割増賃金(第36条)
会社は36協定(サブロク協定)と呼ばれる労使協定を結結し、労働基準監督署に届け出ることで、時間外の労働や休日労働が可能になります。
また、休日労働を除いた時間外労働の上限は、月45時間・年360時間と定められています。
ただし、臨時的な特別な事情がある場合は、以下のように定められています。
- 時間外労働→年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計時間→月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内
⑧割増賃金(第37条)
労働者が時間外労働、休日労働、深夜労働をした場合には以下の割合に基づいて割増賃金を支払う必要があります。
- 時間外労働→25%
- 休日労働→35%
- 深夜労働→25%
また、残業時間が60時間を超えた場合は超過した時間は50%以上の割増賃金になります。
⑨年次有給消化(第39条)
会社は雇い入れ日から6ヶ月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、10日間の有給休暇を与えなければいけません。
まとめ
労働者の権利を守る労働基準法は、あなたの身を守るための法律ですので、社会人として働き始める前に必ず一度は目を通しておきましょう。
この記事が少しでもあなたの役に立てば幸いです。