会社説明会やテレビのニュースでもよく耳にする「上場企業」という言葉。
聞き慣れてはいるものの、上場と非上場で何が違うのかパッと説明出来ないという方も多いのではないでしょうか。
今回は「上場企業と非上場企業の違いとは?就活で抑えるべきポイントも解説◎」と題して、違いを徹底的に解説します。
就活に役立つポイントや、それぞれのメリット・デメリットもわかる内容になっていますのでチェックしてみてください。
目次
上場企業と非上場企業の違い
まず、これらの違いですが、一言で表すと
『証券取引所で株式を公開しているorしていない』
の違いです。
日本には現在、約400万の会社が存在しますが、このうち上場企業は1%にも満たないと言われています。ごく一部の会社以外は非上場企業という事になりますね。
上場企業
そもそも「株式を公開するとはどういうこと?」という点から嚙み砕いて説明していきます。
会社を経営するには資金が必要ですよね。株式とは、「会社が資金を調達するための手段のこと」です。
会社の資金集めに協力してくれた出資者には、お金と引き換えに「株式(証明書のようなもの)」を渡します。
会社の事業がうまくいったら、「株式」を持っている人(=株主)にも利益を分配するという仕組みです。
この出資者を募るために、一般的に株式を公開することが出来るのが「証券取引所」で、ココで株式の売買をおこなっている会社が「上場企業」という事になります。
非上場企業
上で説明した通り、『証券取引所で株式を公開していない』会社が非上場企業にあたります。
このように、公開されていない株は「未公開株」と呼ばれ、会社の役員や関連会社が保有していることが多いです。
双方のメリット・デメリット

上場企業編
【メリット】
・知名度が上昇する
・資金集めがしやすい
・返済の必要がない
会社の資金調達は、株式以外に金融機関から借り入れをするという方法があります。
皆さんもイメージしやすいかと思いますが、借金をしたら利息を付けて返済する必要がありますよね。
株式での資金調達にはこれが必要ないのが特徴です。
また、一般公開されることで知名度が上昇し、社会的にも大きな信用を得ることに繋がりますよね!
【デメリット】
・経営方針が株主の意見に左右される
・買収されるリスクがある
株式を広く公開すると、株主も増えることになります。
株主は、企業方針や経営に関する話し合いがされる「株主総会」に出席することができるようになり、この意見を加味して経営を進めていかなくてはならないのです。
会社内の意向だけで経営していくことが難しくなる点は、大きなデメリットとも言えますね。
また、特定の株主や企業が株式の買占めをおこなうことが可能です。
このようなことになれば、会社を手放さざるをえない事態に発展します。
非上場企業編
【メリット】
・経営の自由度が高い
・財務状況を報告する義務がない
・買収されるリスクがない
上場企業では、株主総会で株主の意見を経営に反映せざるをませんが、それがない点が大きなメリットと言えるでしょう。
また、上場企業は四半期ごとに財務状況を報告しなくてはならないという決まりがあります。この報告には大きなコストがかかります。
【デメリット】
・資金集めが難しい
・知名度浸透が難しい
こちらは、上場企業のメリットの逆と捉えるとイメージしやすいかと思います。
金融機関からの借り入れでの資金調達は、金額も大きいため利息だけでもかなり高額になりそうですよね・・。
《ちなみに》
誰もが知る大企業でもあえて上場していない企業も多くあります。
(サントリー/YKK/佐川急便/ロッテ/日本郵政etc)
例として、サントリーではこのような理念があります。
企業のモットーである「商品の味を株主の意見に左右されたくない」を体現するためにあえて非上場を選んでいる。
(参考:Wikipedia)
このように、一概に上場企業だけが優良であるとは言えず、”非上場でも十分に意味のある経営が可能である”と考察できますね!
一方で、上場するには一定の審査があります。例として東京証券取引所で扱っている東証二部に上場するための基準を見てみましょう。
・株主数>400人以上
・流通株式数>2000単位以上
・時価総額>10億円以上
(参考:日本取引所グループ)
このような審査基準を通過しないと上場できないということになります。
サントリーのようにあえて上場しない企業以外は「上場したくてもできない」という会社がほとんどでしょう。
就活で抑えるべきポイント

上場企業と非上場企業の違いはお分かりいただけたかと思います。しかし就活するときには
「やっぱり上場企業の方が安心?」
「非上場企業は避けるべき?」
のように少し迷ってしまいますよね。
ここからは、知っておくと就活のときに役立つポイントをいくつかご紹介します。
社会的な信用・働く環境重視なら「上場企業」
上場している会社は、資金に余裕がある場合が多いため、労働環境や福利厚生がしっかり整っている会社がほとんどです。
そして何より、「良いとこで働いてるな!」という印象を持ってもらいやすく、自分のステータスにもなりますね!
マンションなどの契約時にも有利という噂もあるようですよ。
自分のチカラで仕事を大きく進めたい夢があるなら「非上場企業」
上場企業では、規模が大きい分一個人の影響力が少ないというデメリットがあります。
大手企業に入社したいというより、”やりがいのある会社に入社したい”という思いがある場合は、非上場企業の方が自由度高くのびのびと仕事できるかもしれません。
「上場企業」では常に肩書きがついてまわる
どんな会社で働いていても自社の社員であるという自覚は必要ですが、特に上場企業ではもし一個人が問題を起こした際、ブランドに傷がつき企業全体の社会的信用を大きく失うことになります。
少し大げさな表現ではありますが、365日肩書きを背負って生活していくことが求められますね。
「非上場企業」は待遇面が劣りがち
非上場企業には、大手企業は少なくベンチャー企業や中小規模の会社が多いです。福利厚生や環境面では上場企業に劣る部分も多くあるでしょう。
特に女性の場合は、出産・育児などの大きなライフステージの変化があります。福利厚生面の充実は応募企業を決める際の大きなポイントとして覚えておく必要がありそうです。
最後に
上場企業と聞くと「大企業はみんな上場企業なのでは?」と思っていた人も多いかと思いますが、一概にそうではないという事がお分かりいただけたかと思います。
「将来自分がどんな姿でありたいか」を今一度考え直してみましょう。
上場しているか・していないかだけでなく、あなたにとって最良の会社を選べるように活動していきたいですね。