2020年3月頃から世界を揺るがし続けている新型コロナウイルス。
就活真っ只中の大学生にとっては、企業が受けているコロナ影響は非常に気になるポイントですよね。
給料やボーナスの支給状況など、社員の生活そのものに影響してくる部分も多いはずです。
今回は商社業界に的を絞り、コロナが企業に・そして採用戦線にどんな影響を及ぼしているのかを調査してみました。
応募企業を選定するにあたって参考になる部分も多いかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも商社業界とは?
「商社」という言葉を調べてみると、
「輸出入貿易ならびに、物資の販売を業務の中心にした、商業を営む業態の会社」
と出てきます。
総合商社と専門商社の2つに分けられ、幅広い商品を扱うのが総合商社、特定の分野に特化しているのが専門商社になります。
(参考:Wikipedia)
ちなみに、物資を販売しているという点でメーカーと混同しがちですが商社とメーカーは全く別物です。
■自社で商品を製造している・・・メーカー
■製品を調達し販売する・・・商社
「商品の製造以外の部分を請け負い、メーカーを支えているのが商社」と考えるとわかりやすいかもしれません。
商社業界のコロナ影響《需要動向編》
人気企業ランキング
コロナで減益している企業が多い中、商社への応募数はどのようになっているのでしょうか。
22卒の就活生が選んだ就職希望先の総合ランキングは以下のようになったそうです。
1位:損害保険ジャパン
2位:伊藤忠商事
3位:東京海上日動火災保険
4位:楽天グループ
5位:ニトリ
6位:三井住友海上火災保険
7位:ソニー
8位:三井住友銀行
9位:三菱UFJ銀行
10位:三菱商事
(参考:キャリタス就活2023)
2位の伊藤忠商事は、毎年上位にランクインする超大手の総合商社と言えます。
10位の三菱商事も、前年8位と人気の商社です。数多くの業種がある中10社中2社が商社というのは健闘しているようにも思えます。
ちなみに、前年で5位・6位だった日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、51位・89位と大幅ダウン。やむを得ないコロナ流行だとはいえ、心が痛みますね…。
次に、商社業界に絞ったランキングではこのような結果になっています。
※( )内は総合順位の前年/今年比較
1位:伊藤忠商事(3位/2位)
2位:三菱商事(8位/10位)
3位:三井物産(17位/15位)
4位:住友商事(29位/18位)
5位:丸紅(34位/38位)
(参考:キャリタス就活2023)
またこの5社は、世界的にも有名な総合商社で、日本の『5大商社』とも言われています。
( )内の総合順位をみてもそこまで悪くない印象ですね。
そして特に注目したいのが、前年との比較。
上で例に挙げたJALとANAのように、コロナ影響を大々的に受けた企業は大幅に順位が下がり、就活生からの注目度も下落していますが、
5大商社は前年と比較してもそこまでの変化は見られないのが分かります。特に住友商事は10位以上順位を上げていますね!
「ラーメンから航空機まで」の言葉で知られるように、非常に幅広い分野を手掛ける総合商社は、コロナ禍で需要が高い製品を見極め事業に力を入れることで、アフターコロナ事業を前向きに進められるのではと判断した就活生が多かったと推測できますね。
またこのような背景から、コロナウイルス感染拡大など予測できない事態にも比較的柔軟に対応できるのが総合商社であるという認識も浸透したことが予測できます。
採用枠は変わらないにしても、倍率が上がる可能性は十分に考えられますね。
新卒採用の需要
2021年6月現在、まさに進行中となっている22卒の就活で、コロナ禍においては21卒に続き2度目になります。
コロナ流行が最盛期だった21卒と22卒の採用動向アンケートから、23卒の需要を推測してみます。
全国の主要商社を対象に行われた採用人数のアンケートでは下記のような結果になっています。
(以下参考:株式会社ディスコ)
■22卒採用予定数
・21卒より増やす見込み・・・23.7%
・21卒と同程度の見込み・・・63.1%
・21卒より減らす見込み・・・13.0%
・未定・・・1.4%
21卒と同程度以上の採用人数を見込んでいる主要企業が85%を超えていますね。
コロナのワクチン接種などがある程度明瞭化してきたことで、21卒時よりは採用に積極的になっているのではないでしょうか。
続いて、22卒と比較して23卒採用見込みは以下の通りです。
・増える見込み・・・3.6%
・同程度の見込み・・・68.8%
・減る見込み・・・2.7%
・未定・・・24.9%
新卒採用枠を大幅にカットしたり、採用自体を中止する可能性はかなり低いと言えますね。
22卒と23卒見込みの割合を比較してみると、未定の割合こそ多いですがそこまで差異が無いことが分かります。
21卒(コロナ流行最盛期)と同程度、もしくは増やすと見込んでいる企業は86%を超えていますし、23卒で新卒採用の需要が極端に減るという事は無いと想定できるでしょう。
商社業界のコロナ影響《月給・ボーナス編》

コロナが流行し始めてすぐの2020年、夏のボーナスは増えたと言われている5大商社ですが、コロナの影響を受け冬のボーナスは減額になったとみられています。
例として住友商事は、約40人のすべての執行役員に対し、2021年6月に支給されるはずのボーナスをゼロにすると発表しています。
合わせて経営会議のメンバー9人に対しては、半年間の役員手当の減額など、厳しい現状となっているようです。
一方、一般社員で特に心配されるのが毎月の給与の減少です。というのも、固定給が変化なしでも、残業代が大幅カットされているからです。
在宅ワークが推進されたことにより、在宅時の残業禁止の企業が増えたり、社員から残業申請をしにくいという背景があります。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」という資料によると、2019年と2020年の5月の残業代を比較すると約30%減というデータが出ています。
コロナ流行前と後でかなり残業が減っていることが分かりますよね。
今後出社制限は緩和されていくかもしれませんが、低迷した業績を立て直すために真っ先に講じる対策は残業代の削減とも推測できるため、残業代分手取りが減ることになります。
一般社員のボーナスを丸々カットしたり、大幅に月給カットするという事は考えにくいですが、月々の足しとなるはずの残業代や、ボーナス額の減少は現実的です。
商社業界だけではないかと思われますが、就活の際には頭に入れておきたいものです。
最後に
採用枠に関しては特に心配しなくても良さそうなことが分かり、少し安心しましたね。
しかし、給与・ボーナスに関してはどうしても免れないマイナス面があり、そしてそれはどんな業界にも言えることです。
応募企業を選ぶ際には、福利厚生やボーナスの仕組みなど、なるべく把握するようにしたいですね。
《まとめ》
■あらゆる製品を展開する総合商社は、人気が高く倍率が上がる可能性アリ。
■採用枠の増減は大幅な変化なし予想。需要は継続的。
■月給・ボーナスは少々のカットは考えておく必要あり。