留学しても、”就職活動”に間に合うの?
大学3年生で留学に行く人も多いはず。3年生は、学生最後の長期留学のチャンスでもありますが、帰国後からはじまる就活の準備のことも考えると、どちらをとるべきか迷ってしまうと思います。筆者は、大学3年生で1年間の留学後、1年間卒業を遅らせて就職活動に挑みました。今回は自身の経験も踏まえ、1年間留学した人が「就活で1年遅らせるべきか、帰国してすぐに就活に挑むべきなのか」についてお話ししたいと思います。
海外は日本の3学期とは異なり、秋と春の2学期制で構成されていることが多いです。例えば、アメリカでは日本の新学期が4月から始まるように、2学期制の場合は8月下旬頃から新学期「Fall Semester」が始まります。そして冬休みを挟んで始まるのが「Spring Semester」で、1月後半頃から5月下旬までの期間となっています。
日本の就職活動では、2017年度卒の場合は「3月に情報解禁、6月面接開始」というスケジュールで、3月から会社説明会やエントリーシート(ES)の提出、SPIの受験が始まります。「Spring Semester」が終了するのが5月中旬となると、面接解禁には間に合いますが、説明会などの期間には参加できません。海外からWEBで説明を聞くことのできる会社も存在しますが、一方で説明会の参加を必須としている会社もあります。そのため1年間の留学の場合、面接時期ぎりぎりに帰国することになります。
したがって「留学で留年すべきか、そのまま就活に挑むべきか」という悩みが生まれるわけです。
「留年する」「留年しない」メリットとデメリット
「留年する or 留年しない」のどちらにも長所と短所が存在します。実際に留年した人、留年せずに就職活動をした人に話を伺い、ポイントを整理してみました。
「留年する」
【メリット】
・準備期間が十分に取れる。
・インターンシップに参加できる。
・同期が先に就活を終えているため、アドバイスをもらいやすい。
・説明会やエントリーシートの提出に出遅れない。
【デメリット】
・留年にコストがかかる
・同じ時期に一緒に就活する仲間が少なく、情報が得にくい。
「留年しない」
【メリット】
・無駄な留年コストがかからない
・同じ時期に就活する仲間が多く、情報が得やすい。
【デメリット】
・準備期間が取れない。
・滞在先で、留学と就活の両立をしなければならない。
・OBOG訪問をする時間がない。
留年する・しないの一番の違いは、「準備期間」と「費用」です。前者を選んだ場合は、帰国後に猶予があるため十分な準備ができるでしょう。一方で留年せずに卒業した場合は、余分な授業料を払う必要がありません。
「準備期間」について
面接解禁日までには、自己分析からエントリーシートの提出、テストなど様々な課題が存在します。また、毎年企業は夏・冬のインターンシップを行っています。
インターンは「採用とは直接は関係がないもの」と言われていますが、企業の雰囲気や業界を知るには良い機会と言えるでしょう。また、インターンで優秀な成績を残すと、企業によってはテストの免除や選考の優遇がある場合もあります。参加は必須ではなく、インターンをせずとも志望する企業に入れる方は多くいますし、逆に参加しても望み通りに進まないケースもあります。ただ「インターンをする or しない」を、自分で選べる「選択肢」を持つことができるのは大きいです。
他に準備期間に必須なのは「自己分析」と「業界研究」です。この2つは就職活動において、自分の軸をはっきりさせるためにも非常に重要となります。膨大な情報を整理しなければいけないため、就活開始までにこれらを済ませるには時間が必要です。しかし、海外でも対策が出来るため、しっかりと留学と就活の両立が出来る人には可能だと言えます。
厄介といえるのは「会社説明会」・「筆記テスト」・「ES」の3つでしょう。これらはウェブで受けられる場合もありますが、会場へ出向いてテストを受けなければならない場合や、ESの提出を郵送に指定している企業も多く存在します。海外から送られたESも受理されますが、その場合は時間に余裕を持って郵送しましょう。このように就活期間に日本にいない場合は、受けられる企業が減ってしまう、手間がかかってしまうということがあります。
しかし、海外経験を持った学生を採用したい企業も多く、秋採用を設けている会社も増えてきました。秋採用の場合、テストやESの期限が、留学した人でも間に合うように設定されています。またボストンキャリアフォーラム等の選考や、留学生限定の企業説明会も存在するので、そういった機会を積極的に活用していくこともお勧めです。一番必要なことは、留年するかしないか決める際に、自分が受けたい企業や業界がどのような採用形態をとっているか調べておくことでしょう。
「費用」について
たとえ奨学金や交換留学制度を使っても、留学は多くの出費は免れません。まして1年留年するとなると、さらに多くのコストを支払う必要があります。大学によっては、卒業単位を既に取得している場合、留年費用が安くなることもありますが、それでも数十万円はかかるでしょう。
そのため、留年をする場合は、コストはどのくらいか?その費用はどうやって支払うのか?コストをかけてまで就活を遅らせるメリットはあるのか?といった点まで考える必要があります。
~終わりに~「留年する?しない?」
留年を「する」「しない」…どちらが良いかは、その人の性格や状況によっても違ってきます。
例えば、力を発揮するまでに時間がかかる「長距離型」の筆者の場合は、ビザが失効する直前までは留学先で過ごし、1年延ばすことで就活にじっくり向き合うことを選びました。一方、帰国後すぐに就活に挑んだ留学仲間も、限られた時間の中で、しっかり志望する企業に入った人も多くいます。
ただ社会人になってから後悔しないためにも、”妥協“だけは避けたいところです。自分と向き合ってどちらが最良の結果に繋がるのか?を考えることが、納得できる結果に繋がる近道なのかもしれません。