詳しく知ってる?2020年アメリカ大統領選挙の注目したいポイント

アメリカ大統領選について、ニュースでよく見るけれど詳しく知らない人も多いと思います。トランプ氏やバイデン氏はどんな政策を掲げているのか、どちらが当選したら日本にどんな影響があるのか説明できますか?実は、アメリカの大統領選は日本の経済にも関わってくるんですよ。

そこで今回は、アメリカの大統領選挙について、トランプ氏やバイデン氏の政策や争点となるポイント、今後注目したい点についてわかりやすく解説します。これを機に、世界中で話題となる大統領選について理解を深めましょう。

 

1. 2020年アメリカ大統領選の概要

 

そもそも大統領選は、4年に1回行われる選挙のこと。夏のオリンピックと同じ年と考えると覚えやすいですよ。そして時期は11月の最初の火曜と決まっており、今年は11月3日が投票日です。

2020年の選挙は、ドナルド・トランプ氏と、ジョー・バイデン氏が戦います。注目するべき点は、アメリカでも深刻な問題となったコロナの感染対策、経済回復をどう行うかといったところです。次項から、それぞれの政策と日本に及ぼす影響を見ていきましょう。

 

2. 共和党ドナルド・トランプ氏

ご存じのとおり現大統領である、共和党のドナルド・トランプ氏。「アメリカファースト」を掲げた攻めの姿勢がたびたび話題になっていますが、今回はどのように戦うのでしょうか。

 

2-1.トランプ氏の政策

トランプ氏の政策のポイントは主に4つあります。

・ワクチンの開発を急ぐ

・個人の給与に対する減税

・対中国へ制裁関税を実施

・パリ協定の離脱

 

まず、コロナ対策については、トランプ大統領はマスク着用について否定的な姿勢を見せています。WHOに対して批判的な意見を述べるなど、協力し合うというよりワクチンの開発を優先しているという印象です。

また給与の減税も、トランプ政策の大きな特徴です。トランプ大統領は就任後に早速、法人税を35%から21%へ引き下げました。同様に個人に対する税金も緩和して、経済回復を見込んでいるようです。

そしてトランプ氏の「アメリカ第一主義」は、今年も続いています。中国への制裁や、アメリカに不利と思われるパリ協定の加盟をやめるなど、対外的に圧力をかけていく姿勢がよくわかります。

 

2-2. トランプ氏が当選した際の影響

もしトランプ氏が大統領になったら、日本も含めて景気がよくなることが予想されます。なぜなら税金を下げることは企業の売り上げ増につながるためです。

実際アメリカの法人税を引き下げた際も経済成長はよくなっており、過去の流れから同じことが起こる可能性はあるといえるでしょう。

ただ懸念されるのは、圧力をかけるばかりで、諸外国との関係は冷え込んでいること。中国の関税が厳しくなれば、当然その業界は打撃を受けるので、日本にもその影響はまわってくるでしょう。

このようにアメリカの経済を優先する一方で、対外的な政治に懸念があるのがトランプ大統領の政策です。

 

3.民主党ジョー・バイデン氏

バイデン氏は、2009年から2017年まで続いたオバマ政権時代に、副大統領をつとめた人です。2020年で77歳になり、大統領に当選した場合は最高年齢となります。(トランプ氏は74歳)

 

3-1.バイデン氏の政策

続いてバイデン氏の政策のポイントを見てみましょう。

・WHOとの良好な関係を重視

・法人税、キャピタルゲイン課税の増税

・育児、介護支援の予算増やす

・パリ協定に再度加盟

トランプ氏と比べると、バイデン氏の政策は協力体制を築きながら、経済回復を見込む方針になっています。WHOとの関係構築や、パリ協定への加盟などは良い例でしょう。

また一部の富裕層や、法人税を増税する意向はトランプ氏とは大きく異なるところです。この他にも最低賃金の引上げや、育児支援にお金をかけるなどの政策を打ち出しています。

トランプ氏は経済回復を重視した企業よりの思考、バイデン氏はマイノリティや貧困層の救済を重視した個人よりの思考といえそうです。

 

3-2.バイデン氏が当選した際の影響

バイデン氏が当選した場合は、日本は円高になる可能性があります。なぜなら、アメリカの税金が上がるとドル高が進み、円はドルの影響を受けるからです。

そうなると国内向けの産業はプラスになりますが、国外向けの産業や輸出品は例年よりマイナスになってしまう恐れがあります。

ただ、バイデン氏は諸外国との協力的な関係構築を優先しています。そのためトランプ氏のように、無条件で他国に経済的な制裁を行うといったリスクは低くなるでしょう。

 

4.両者の支持率

出典:Real Clear Politics

 

10月10日時点のトランプ氏とバイデン氏の州ごとの支持率を見てみましょう。赤がトランプ氏、青がバイデン氏で、色が濃いほど支持率が高く、グレーがまだわからないところです。現時点ではバイデン氏のほうが優勢で、538人の選挙人のうち226人を獲得しています。

 

5. 今後の注目ポイント

選挙まで残り1か月をきり、熾烈な戦いが続いています。そんな中で、これから注目したいポイントをご紹介します。

 

5-1.誰がスイングステートの支持を獲得するか 

先ほどの支持率の画像で、どちらにつくかわからないグレーの州がありましたね。英語では“Swing State”(スイングステート)と呼びますが、これらの州によって結果が大きく変わります。

2016年のトランプ氏とクリントン氏の戦いの際も、クリントン氏が300万票も多かったにもかかわらず、スイングステートをうまく使ったトランプ氏が勝利をおさめました。

これは、アメリカでは国民投票の数ではなく「選挙人」の数が重要だからです。より選挙人が多い州を獲得することにより、勝敗が変わってくるのです。

たとえばテキサスやフロリダは多くの選挙人がいるので、今後両者の集会が頻繁におこなわれる激戦区となるでしょう。

 

5-2.トランプ氏の戦い方

トランプ氏の戦い方も、今後着目すべき点が2つあります。

1つ目は郵送投票についての意見です。2020年の大統領選は、コロナ拡大防止のため大半が郵送で行われます。しかしトランプ氏はこれに対して「不正が可能だ」と主張しつづけているのです。

不正ができる根拠は示されていないようですが、万が一バイデン氏の獲得票が多かった際に、トランプ氏が結果を受容しない可能性があります。

2つ目はトランプ氏のコロナ感染です。10月2日に感染が発覚し入院、5日には退院したそうですが、いまだ感染経路はわからないとのこと。

マスク着用に否定的だった当人が感染し、大統領の職務をまっとうできていないのでは、という世論も聞こえてきます。今後の集会でコロナ対策についてどう述べるのかも、見ておきたいポイントです。

 

まとめ:2020年の大統領選も熾烈な戦いに

アメリカの大統領選について、候補者2人の政策や今後の影響、支持率などを解説しました。毎回激しい戦いとなる大統領選ですが、今年もギリギリまで何が起こるかわかりません。

ほぼ正反対の政策をかかげる両者のどちらが大統領になるか、ぜひニュースなどで動向を見てみてください。アメリカの経済は日本にも大きな影響を与えるので、今後の流れを予測しながら見るといい勉強になりますよ。