【アメリカ大統領選】バイデン氏とトランプ氏の政策内容は?2人の考え方を解説

現在、世界中の国から注目を集めているアメリカ大統領選。立候補したトランプ氏とバイデン氏による討論会で始まったアメリカ大統領選は、すべての州の票の集計が終了し、バイデン氏の当選が確実となりました。

 

この記事では、2020年アメリカ大統領選で戦ったトランプ氏とバイデン氏がいったいどういう考えを持った人なのか、どのような政策を掲げているのかについて、分かりやすく解説します。

 

トランプ氏とバイデン氏の政党に基づく考え方

 

アメリカの2大政党「共和党」と「民主党」

「共和党」「民主党」の2大政党で成り立つアメリカは、常に2つの党が拮抗している状態です。簡単にそれぞれの2党の考え方を説明すると以下のようになります。

 

共和党

・国家主義「アメリカとしての一体感を重視」「アメリカの伝統、ルールを重んじる」

・競争を激しく「減税により、企業を競争させて経済を回す」「国が国民に干渉しない=小さな政府」

 

民主党

・個人主義「マイノリティ(移民・黒人・LGBTQ)に優しい」「個人の自由を尊重する」

・福祉充実「増税により、社会保障を充実させて貧困層を助ける」「国が国民の面倒を見る=大きな政府」

 

そして、共和党と民主党の中にはさらに2つの派閥があります。それは共和党なら保守派、主流派の2派、民主党なら急進派、中道派の2派です。

では、トランプ氏とバイデン氏はどの派閥にいるのでしょうか。

 

トランプ氏:共和党保守派

共和党保守派であるトランプ氏は、とにかく「国家=アメリカ」を大事にしています。いわゆるアメリカファースト、アメリカ第一主義と呼ばれる考え方です。そのため、移民に厳しい政策を取ったり、アメリカが不利になる貿易相手国に対して関税を引き上げたりしました。トランプ氏は、税金を下げて、企業間で競争させることが経済を豊かにすることにつながると考えています。

 

トランプ氏の主な支持層は、以下のような人たちです。

・農村部の貧しい白人

・キリスト教の「伝統」を守りたいプロテスタント福音派

・個人も武器を持つべきで、これがアメリカの伝統だと考えるライフル協会

 

バイデン氏:民主党中道派

2009年からオバマ政権の副大統領を務めたバイデン氏は、民主党中道派に属しています。不平等な社会では自由に生きられない人もいるため、税金を上げて、社会福祉に力を入れようという考えをしています。また、黒人、移民などのマイノリティの権利を尊重しています。

 

そして、バイデン氏の属する中道派は、急進派ほど社会主義を重視していないという点も特徴です。つまり、税金を思いっきり上げる!そして社会保障を充実させる!という現在のアメリカから一気に方向転換するような極端な政策ではなく、今までのアメリカの在り方から徐々に変えていこうという慎重な考え方をしています。

 

そして、バイデン氏の主な支持層は以下のような人たちです。

・個人の重視に賛成している都市部のエリートの白人

・ラティーナと呼ばれるラテン系の移民

・カトリック(※アメリカはプロテスタントの国なので、カトリックはマイノリティ)

 

まとめると、トランプ氏とバイデン氏は、以下の図の位置にいます。

トランプ氏の政策

2017年からの4年間、アメリカ大統領を務めたトランプ氏。トランプ氏はこれまでの4年間でどのようなことをしてきたのでしょうか。トランプ氏の政策と、それらを批判するバイデン氏の考えを説明します。

 

トランプ氏のこれまでの政策と成果

・大幅減税による景気回復

あくまでコロナショック前の状況ですが、大幅な減税により企業間の競争を促し、経済を回した影響で、景気は回復傾向にありました。わずかながらではありますが、経済成長率を伸ばし、そして失業率も4.5%だったものを3.5%に低下させました。

 

・移民政策

トランプ氏は、不法移民によってアメリカ人の仕事が奪われている、悪影響だと判断し、着任早々イスラム教徒の多いイラン初め7か国からの入国を禁止しました。また、隣接している国、メキシコに対してはかなり強固な政策を取り、不法移民を防ぐためにメキシコとの国境に壁を制作したことはとても有名です。このような政策の結果、アメリカの難民の受け入れはほぼゼロまでに減少し、メキシコを初め国外からの入国者は減り続けています。

 

この他にも様々な政策を行い、ある程度の成果を出していたトランプ氏ですが、コロナショックと黒人差別問題による経済悪化、そしてトランプ氏本人による過激な発言で、様々な批判を浴びています。

 

バイデン氏によるトランプ氏の批判

トランプ氏のこれまでの政策に対して、バイデン氏は様々な批判を訴えています。

 

まず、コロナ政策に関しては、経済を優先したがために多くの人が犠牲になったと、コロナウイルスを軽視した政策に批判を示しました。さらに、トランプ氏による黒人などのマイノリティを差別するような発言で、アメリカ人同士での意味のない戦いが始まってしまったと批判しました。

 

このような批判をしたバイデン氏は、コロナショックと人種差別問題の2つが、現在アメリカが抱える主な課題であるとしました。

 

今後の政策、公約

コロナショックによる経済の悪化、人種差別問題を抱えるアメリカ。2人はどのような政策をすると公表しているのでしょうか。2人の政策を比較しながら説明します。

 

コロナ政策

トランプ氏

あくまで経済の回復に尽くす考えで、大規模な減税で企業同士を競争させ、大企業がお金を稼ぎやすくするとしています。感染拡大を踏まえて、低所得者への補助を拡大する医療保険制度=オバマケアを全面廃止し、別の政策が必要だとしました。

 

バイデン氏

経済活動の再開は慎重な考えを示し、まずはコロナウイルスの検査、治療を誰もが受けられる制度と、医療体制の充実を重視しています。トランプ氏の減税案とは逆で、裕福層から税金を徴収し、コロナでの失業者、貧困層にお金を回すとしました。また、オバマケアに賛成しているバイデン氏は、それをさらに拡張させた新たな保険制度を確立させるとしています。

 

経済政策

トランプ氏

法人税、個人所得税を下げ、企業の競争を促し、経済活性化を目指しています。巨額の貿易赤字改善のため、主に中国からの輸入製品に高い関税をかけ、アメリカの製品を守る必要性を主張しました。

 

バイデン氏

企業や裕福層への増税の重要性を訴え、法人税の引き上げを行うとしました。増税した分は社会保障に当て、貧富の差の改善を目指しています。また貿易赤字を踏まえ、国内の先端技術開発に投資し、輸入に頼らず国内で製品を回せるようにするとしました。

 

人種差別

トランプ氏

人種差別について具体的な政策を掲げることはなく、「過去に比べて差別のない世の中になった」と差別問題を重要視していません。そして、暴動が起きた際に取り締まる警察への予算を削除することに反対の考えを示し、正しく対処できる有能な警察を育てられるよう、組織に十分な投資をするとしています。

 

バイデン氏

マイノリティを尊重する政策を掲げ、教育格差をなくすよう教育機関への投資、黒人が行う企業への投資をするとしています。また警察に関しては、警察官の教育に投資するとし、さらに低所得の家庭に資金を送り、そもそもの犯罪を減らせるようにしたいと訴えました。

 

移民政策

トランプ氏

これまで4年間やってきた通り、移民政策を継続して行うとしています。移民がアメリカ国民の雇用を奪い、移民がアメリカ国内の治安を悪化させる原因であるとし、移民に対して厳しい考えを示しています。

 

バイデン氏

移民はアメリカの経済成長につながる場合もあるとし、厳しい規制してきた移民政策に反対しています。犯罪歴がないなどの条件を満たす人は、ビザや永住権を獲得できるなど、移民を受け入れる制度を作るとしています。

 

まとめ

この記事では、トランプ氏とバイデン氏の政策、考え方を説明しました。アメリカが今後どのような政策を取っていくのかは、日本にも大きな影響を与えます。ぜひ今後もアメリカの動きに注目してみてください。