2021年夏のオリンピックは開催される?それとも中止?現時点での考察

コロナウイルスの拡大により、2020年夏のオリンピックは類を見ない「延期」となりました。本当に2021年夏に開催されるのか、気になる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、現在のIOCの見解や国内外の状況を調査し、オリンピックの開催可否状況についてまとめました。オリンピックの情報を詳しく知りたい人は、ぜひ最後までチェックしてくださいね。

1. 公式サイトでは開催予定

TOKYO2020オリンピック公式サイトでは、夏のオリンピックは2021年7月23日から、8月8日まで開催される予定です。これから変更となる可能性もありますが、各競技の場所と日時も決まっており、公式サイト上で中止を示唆するような表現は見受けられませんでした。

また公式サイトでは、コロナ禍でどう大会を進めていくか、感染症対策会議が定期的に開かれており、その進捗を確認できます。直近の2020年12月の会議では、アスリートやスタッフ、観客それぞれのウイルス感染をどう防ぐかが協議されており、基本的には開催する方向で動いていることが伺えます。

2. 一方で広がり続けるコロナウイルス感染

しかし、その一方で世界的にコロナウイルスの感染は拡大の速度を増しています。全世界では累計1億人近くの感染者が出ており、国内でも感染による死亡者数は5,000人以上に及んでいます。

さらにオリンピック開催の拠点となる東京では、2021年1月には緊急事態宣言が再度発令され、予断を許さない状況です。とはいえ、日本政府の一存ではオリンピックの開催可否を決められません。肝心のIOCはどのような考えでいるのか見てみましょう。

・IOC幹部が「ワクチン接種は必須」

米国のメディアNewsweekは、2021年1月6日にオリンピック開催に関する記事を出しています。内容によると、IOC幹部をインタビューしたところ「アスリートがワクチンを接種できなければ、東京オリンピックの開催は難しい」と述べていたそうです。

現在開発が進んでいるワクチンは、医療従事者や基礎疾患を持つ人、高齢者が優先的に摂取できる予定です。しかし、アスリートの優先順位はそこまで高くないため、ワクチンの提供が開始されたとしても、オリンピックの開催までに間に合うかどうか目途が立っていません。

・IOC最古参委員のパウンド氏の発言

対して、日本経済新聞によると、IOCの最古参委員であるパウンド氏は、別メディアのインタビューを受けた際に「東京オリンピックを中止するつもりはない」と答えたそう。観客同士の「密」を避けて、距離を取れば感染は避けられるため、無観客での開催が現実的と考えているようです。

無観客での試合が難しければ、日本に住んでいる観客だけにとどめるという方法もあります。場合によっては「密」が予想される聖火リレーを延期、もしくは中止することも検討すると述べています。また冬の乾燥している時期は感染リスクが上がりますが、春から夏にかけてはリスクを抑えやすいことも、無観客開催が最適な策だと考えた理由の一つだそうです。

3. オリンピック開催に向けて残る課題とは?

ウイルス感染が落ち着くまでは、オリンピックの開催がどうなるかはまだわかりません。ここからは、開催に向けて残る課題について解説します。

・代表選手の選考大会が開催できるか

オリンピックを開催するためには、代表選手を決める選考大会を行わなければいけません。2021年1月時点で国内の代表選手はわずか2割程度しか決まっておらず、今後の大会をどのように開催するかも、大きな課題となっています。

たとえば陸上競技の大会では、一度の走行人数を減らして無観客の開催をするなど、これまでとは違うやり方を試みています。飛沫感染を防ぐために、コーチがアスリートに声掛けをするのも控えるように定められています。今後選考大会がどう進むのか、実施状況をチェックしてみると、オリンピックの開催進捗もわかりやすくなるでしょう。

・観客をどの程度制限するのか

オリンピックの開催にあたって海外から観光客を受け入れるのか、国内の観客にとどめるのか。それとも一切人を入れず、無観客で行うのかによって、開催状況は変わってくるでしょう。

海外からの観光客を迎え入れれば経済の回復が期待できますが、感染拡大のリスクは大きくなります。かといって観客がまったくいないと、オリンピックらしい雰囲気が感じられず、アスリートの覇気も上がりにくくなります。今後IOCと国内の事務局がどのように動いていくのか、コロナ禍のオリンピックがどんな状況で行われるかは、注視しておきたいトピックの一つです。

・オリンピック開催による医療分野への負担

オリンピックを開催すると、ある程度の人の動きがありますから、コロナウイルスのさらなる感染拡大が懸念されます。そのときに医療体制が十分整っているのか、負担にならないかといった点も課題になっています。

各国のアスリートを診察する医療従事者はどこから連れてくるか、そして連れてきた分の穴を埋められるだけの体制は整っているのか。オリンピックを問題なく開催できることはもちろん、一般向けの医療体制に負担をかけないことも懸念されています。

まとめ:今後のオリンピック開催状況に注目してみよう

2020年から延期されたオリンピックが2021年に開催されるのか、といったテーマで、各機関の動向を考察しました。延期したからには必ず開催する、という考えのIOC職員がいる一方で、ウイルスは拡大を続けており、開催可否がどうなるかはまだわかりません。

ただ春から夏にかけては、冬ほどの感染数が予想されないため、ワクチンの接種が追い付けば、2021年にオリンピックが開催される可能性は高いでしょう。今後の進捗が気になる人は、残る課題となる選考大会は無事進められるのか、観客制限はどうするのか、といったことも注目してみてください。