【アメリカ大統領選】バイデン氏がアメリカ大統領になったら各国への影響は?

11月上旬から始まったアメリカ大統領選。すべての州の票が集計され、バイデン氏の当選がほぼ確実となったと報道されました。

 

そんなアメリカ大統領選は、アメリカ国内だけでなく国外への影響力もかなり大きいです。現在、世界中のすべての国が大国アメリカの政治がどうなるのかを真剣に予測している状況です。

 

そこで今回の記事では、現在の大学生に向けて、バイデン氏がアメリカ大統領になることが、各国にどういった影響を与えるのかについて分かりやすく解説していきます。

 

これまでのトランプ氏の外交のやり方

まず初めに、トランプ氏がこれまでどのようなスタンスで外交に取り組んできたかを説明します。

 

アメリカ第一主義

トランプ氏はとにかく「アメリカ第一主義」の考えを貫き通していました。アメリカが不利になることはすべて無視!自分たちの考えと反する同盟からは脱退!というかなり思い切ったやり方です。例えば、自由貿易を促す「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」からの脱退、地球温暖化対策を推進する「パリ協定」からの脱退が有名です。しかし、そのような他の国に対する強気の姿勢と、感情的で個人的な感覚での取引によって、他国との間に貿易摩擦が多く起こっていたことも事実です。

 

軍事力で強硬姿勢

「アメリカ第一主義」を貫き通し、各国に強硬姿勢を取ることができたのも、アメリカの大きな軍事力があったからです。トランプ氏は軍事費に十分な予算を当て、国の軍事力をより強くしていきました。そんな強い軍事力を持つアメリカに対して、各国は「いざとなったらアメリカは軍を派遣してくるかもしれない」、「何か仕掛けてくるかもしれない」という恐怖感を抱いていました。

このように、アメリカの強硬姿勢の背後には、相手国を委縮させるほどの強い軍事力があったのです。

 

バイデン氏の外交のやり方

一方のバイデン氏は、軍事力を背後に強気な姿勢で関わる外交を目指してはいません。バイデン氏は、オバマ政権と同じ多国間協調的な方針を持っています。つまり、各国とは仲良く、連携していくということです。

 

具体的な内容としては、今までトランプ氏によって米国がひたすらに脱退してきた同盟への再加入です。そうすることで、他国との連携、そして世界的なアメリカの指導力を取り戻していきたいとしています。そして、トランプ氏が予算を増やしてきた軍事費を削減し、国内の経済復興のためのお金に回すとしています。

 

では、このような外交のやり方が、各国にどのような影響を与えるのでしょうか。国別で説明していきます。

 

中国への影響

アメリカと中国との関係は現在かなり悪い状態です。アメリカ側は中国との貿易で、巨額の貿易赤字をかかえています。そのため、これまでトランプ氏は、中国製品の関税を引き上げることによって圧力をかけ、不公正な中国の貿易のやり方を批判してきました。またコロナウイルス拡大の責任を中国に押し付け、過激な発言をするなど、中国へかなり厳しく強く当たってきました。

 

そしてバイデン氏は、トランプ氏と同じく、中国の不公正な貿易や国際社会に協力しない姿勢には批判的ですが、挑発的な関わりをするのではなく、同盟国との連携で中国の暴走を止めたいとしています。

 

その影響によって中国は、単独で押しかかってきたトランプよりも、他国と連携して中国に交渉してくることにより、中国側は抑制せざるを得なくなる可能性もあります。しかしその一方、トランプ政権とは異なり、軍事費を減らしたことによって軍事力が弱くなるバイデン政権に対しては、中国側も強気の姿勢で臨むのではないかとも考えることができます。

 

どちらにせよ、トランプ政権の時とは異なる関わり方を中国は強いられることになります。大国として世界の中心になりたい中国が今後どのような行動を取るのか、注目です。

 

ロシアへの影響

バイデン氏が最も警戒している国がロシアです。ロシアとは、冷戦以降、関係は良いとは言えません。その冷戦時代から政治家として活動するバイデン氏は、ロシアのプーチン大統領の独裁主義や、国際社会に参加しない姿勢を批判しています。

 

トランプ政権では、どちらかというとアジアに目を向けていたため、貿易の少ないロシアに対しては無干渉でした。また、主要な同盟や条約から脱退・離脱するなど、他国との連携をしないトランプ政権は、ロシアが独自の政策をする上で、そして比較的貿易量の多いヨーロッパ諸国と仲良くする上で、ロシアにとって好都合でした。

 

しかし、国際協調を大切にするバイデン氏は、ヨーロッパとの関係を良くしようと考えています。そこで他のヨーロッパ諸国と連携して、ロシアの独裁的な動きを止めようとすることがと考えられます。そのため、ロシアはトランプ政権のころとは全く異なる動きをしていかなければいけません。このような理由で、今だに(11/20現在)ロシア側は、バイデン氏の当選を祝福していないのです。

 

トランプ政権になることを望んでいたロシア。今後アメリカとロシアがどのような関係になっていくのかが気になります。

 

その他アジアへの影響

その他アジアの国にも、様々な影響を与えます。

 

バイデン政権になることでの大きな変化は、

・アメリカが他国との協調を重視し始めること

・アメリカの軍事力が下がること

この2つが大きく影響してくると考えられます。

 

これまでは様々な機関から脱退して、プチ鎖国状態だったアメリカでしたが、今後は国際社会にどんどん参加してくると考えられます。

 

そして軍事力の面では、これまで軍事力が強かったアメリカは他の国の範囲まで軍事を広げ、世界的に影響を及ぼしていました。しかしそれがなくなることで、各国にとって今までアメリカに守られていたものがなくなります。つまり自国を自分たちの軍事力、防衛力で守っていく必要が出てくるのです。

他にも様々な影響が考えられますが、アジアに共通して言えることは以上の2つです。

 

日本への影響

そして、気になる日本への影響です。トランプ氏からにバイデン氏に政権交代することは、日本にも大きな影響を与えます。

 

「トランプと安倍元首相は仲が良い?」と言われていましたが、これは本当です。安倍元首相はトランプ氏と同じ、競争主義で国家主義的な、アメリカの共和党的な考えを持っていました。安倍元首相が行った「アベノミクス」は企業間で競争させて経済を回すという、トランプ氏の考え方とほぼ同じです。

 

では、現在の総理大臣、菅首相はどのような考えなのでしょうか。それは「安倍路線の継承」です。つまり、安倍元首相と同じ考えのもと、政治に取り組むとしています。このような点で、日本としてはトランプ氏の再選を望んでいた…と考えられます。

 

しかし、今回当選したのはバイデン氏です。そのためこれからは異なる関わりをしていく必要があります。そして、アメリカの軍事費を抑えるとしているバイデン氏は、日本へ軍事力の負担を要請してくると考えられます。現在の日本は、防衛力、軍事力をすっかりとアメリカに頼っているので、これからは自国の軍事費の予算を増やし、独立していく必要があるかもしれません。

このような状況で、日本は今後どのような対策を取るのでしょうか。これからの動きが大切になります。

 

まとめ

今回の記事では、バイデン氏がアメリカ大統領になることが、各国にどういった影響を与えるのかについて解説しました。世界的な大国アメリカは、各国に大きな影響を与えます。

 

バイデン政権の誕生を受けて、各国はどのような対応をするのでしょうか。これからもぜひ注目してみてください。