日本にいてはわからない。実はアメリカ国内では不支持者増加や反対抗議が盛んに・・トランプ大統領就任後の世界とは。

人ごとじゃない!アメリカの大統領で世界は変わる

2017年世界で一大ニュースとなった新アメリカ大統領就任に関して、皆さんはどれくらい関心がありますか?日本国内では、「過激な発言はするが支持はされているみたいだ」となんとなくポジティブな印象を持っている人も多いでしょう。しかし実はアメリカ国内を中心とした海外では米トランプ大統領へ対する反対抗議が盛んに行われているのです。今回、偉大なビジネス成功者として知られ、一見支持を得られているように見えるトランプ大統領への不支持者増加の事実、日本に及ぼす影響について解説したいと思います。

アメリカ、世界の反応

 

アメリカ大統領過去最低の支持率

国民に選ばれ就任したはずのトランプ大統領ですが、アメリカ国内での不支持者の反対活動が絶えません。米大統領選挙直後、就任式を控えたオバマ大統領の仕事ぶりを支持した人は国民の84%であったのに対し、トランプ氏の政権移行を支持する人は40%と、歴代大統領の中でも最低水準となっています。就任式前夜には反対デモが展開され、民主党議員60人以上が式典をボイコットするなど前代未聞の自体ともなりました。オバマ前大統領の就任式の参加人数が180万人であったのに対しトランプ大統領はたったの25万人。また、就任から100日を迎えたトランプ大統領に対して、共和党員の85%が支持する一方、民主党員での支持率はわずか8%。白人の52%が支持しているものも、学士以上を持つ白人からの支持は38%という数になり、選挙では国民の半分の数が投票したとはいえ、その支持をした国民の学職歴や社会的立場などの層は妥当なものであったのかが疑われる結果となりました。

参考:https://www.cnn.co.jp/usa/35100421-2.html

世界で広がる反発デモ

トランプ大統領就任に対する反発デモが、全米各地や世界各国で既に約60カ国で行われています。またアメリカ国内ではハリウッドスター、歌手、映画監督や大手企業の社長までも含め、多くの著名人がデモに参加しメディアでも反対の声をあげるなどして、影響力の強い人たちが一貫して反対の姿勢を見せます。芸能界ではリベラル色の強い人たちが多いこともその理由となっているのでしょう。マドンナ、エマワトソン、アンジェリーナジョリー、ジョニーデップ、など誰もが知っているスター達も声を上げるその一人です。

アメリカ国民の恐れ


トランプ大統領は就任前に数々の政策を唱えてきました。恐らく全てが実行されるわけではなく、中にはとんでもない政策も発言されていますが、特に反響が大きく話題となっている2つの内容について紹介します。

オバマ前政権の政策撤廃

トランプ大統領はオバマ前政権が導入した地球温暖化対策やオバマケアを必要ないとみなし撤廃する大統領令に署名しました。地球温暖化対策の撤廃により発電所のCO2排出削減を義務付けたオバマ前大統領の「クリーンパワー計画」も、石油・ガス生産に伴うメタンガス排出規制も撤廃され、これにより市民も環境保護団体も大きな影響を受けます。またオバマケアは貧困者・低所得者の医療環境の改善を主とした国民皆保険制度を目指したもので、その費用を賄うための増税により富裕層にとっての負担が増え、支持率が下がってきていたことも事実です。しかしそれを撤廃することで貧困層の問題にまたゼロから向き合わなければならなくなります

移民受け入れ停止と国内からの追い出し

トランプ氏は増えるテロの恐慌からイスラム教徒に対し、彼らをアメリカに入れない、もしくは追い出すという発言をしており、メキシコからの不法侵入も完全に防ぐため、国境に壁を立てると表明しています。また現在国内にいる違法移民を全て追い出だす方針で、宗教や人種での差別を法的正当化して行くような傾向が見えてしまいます。実際にトランプ大統領就任後アメリカ国内での人種差別は増え、“非白人、非アメリカ人“が低い立場に置かれるようになりました。私たちアジア人も例外ではなく、アメリカ在住の日本人もその変化を感じているようです。 

日本への大きな影響は?

 

在日米軍の撤退

トランプ氏は日米同盟はそもそも不公平だと発言しており、自国は自国で守るべきでありアメリカが守るのはアメリカ自身だと主張しています。それにより現在日本にある神奈川や沖縄から米軍撤退の可能性もあり、アメリカのガードがなくなってしまうと日本の武力は一気に落ち、国民はいつでも隣国から襲撃されてしまうような不安に駆られることとなります。撤退されたくないのであれば、駐留費の負担を全額日本に求めるとのことで、そうなればその額は数千億円のかなりの規模になってしまいます。

TPP発効の非実現化

アメリカ第一主義政策を唱えるトランプ大統領は、アメリカの雇用を回復させるためにもアメリカ以外に生産拠点を持つ企業の製品には、高い税金をかける保護貿易の主張をしています。アメリカ国内で自立するため他国との貿易を嫌い、TPPから正式離脱する大統領令に署名しました。日本もTPP交渉に参加しており、これまで国内外で実現に向けて時間とエネルギーを費やしてきました。オバマ前大統領はアジア・太平洋重視の戦略へと転換し、TPP協定の合意を実現させ、あと少しという段階であったのにも関わらず、トランプ政権により実現の可能性が低くなってしまうどころか、アメリカが抜きになってしまえば、規模が極端に縮小しほとんど意味がないということにもなってしまいます。

貿易の難化

TPP交渉から脱退するという考えと同様、国内で商売をやっていくため貿易を避け、輸入品には多額の関税を課す考えを表明しています。例えば多くのアメリカ企業が国内で生産できる製品を、安く輸入できてしまうことから、国内産業の保護のため、中国からの輸入品には45%の関税、メキシコ国境では35%の輸入税を課すと主張しています。ゆえに日本製品のアメリカへの輸出にも多くの関税をかけられることになると、日本の自動車産業などが大きな打撃を受けることになります。

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いかがでしたか?新大統領就任によるアメリカ国内での実際の反響は日本国内で予想できるよりもはるかに大きいのです。今回は世界的にも異例である大規模な反対活動により新政権のマイナスな部分に注目しましたが、賛成反対それぞれ理由はあり、何より自分の意見を持つことが大切です。これを気にあなたもアメリカの政治に興味を持ってみてはいかがでしょうか?