「人間らしく豊かな社会を、次世代に」を目指すコンサル会社、株式会社meguri。今回は10代からマネージメント業をしていたバックグラウンドをもつ代表取締役の杉本綾弓さん、そこでマネージャーとして勤務する今村まりさんにお話を伺いました。
プロフィール
杉本綾弓(すぎもと・あゆみ)
16歳より小売業で採用・新店立上げ・店舗マネジメントを行う。
その後、百貨店のテナントでチーフとなり、予算・前年比割れが一度もなく、次々と売上不振店を立直す。10年の販売職を経てIT業界に転職。物販審査管理部門の立上げ、地域に焦点を当てたマーケティング・プロモーションなどに従事。オフライン・オンラインでのセールス経験を活かし、中小企業向けコンサルティングを中心とした事業展開で2014年独立。また、病・出産をきっかけに、サステナブルな働き方・手触り感のある暮らし方に価値を置くようになる。1児の母。
今村まり(いまむら・まり)
大学卒業後、ロンドンにてインテリアデザインを学び、帰国後はインテリアコーディネートやリノベーションなど住まいのコンサルティングを生業とする。 その後、料理教室で講師やカウンセリングを行うかたわら、自主事業として立ち上げたコミュニティカフェで店主をつとめ、お客さんのよろず相談役となることも。 妊娠出産後、仕事を見直すタイミングでmeguriに参加。 生まれ持った「常に整理整頓をする性質」と、仕事の経験の中で身につけた「聞く力」を活かし、バックオフィス改善のコンサルタントとして日々邁進中。 興味関心は「空間と食とコミュニケーション」。個人的なミッションは「整えて、楽にする」。1児(男児)の母。
目次
生活を分解すると、「暮らすこと」「働くこと」の2つにわかれる
―まず初めに、meguriとはどのような会社なのかお聞かせください。
杉本さん(以下、敬称略):
株式会社meguri(以下、株式会社略)は、「人間らしく豊かな社会を、次世代へ」を目指しているコンサルティング会社です。提供させていただいているサービスは、主に3つあります。1つ目はコンテンツ制作。2つ目はバックオフィスを中心とした業務改善コンサルティング。3つ目は人“財”育成です。
今村さん(以下、敬称略):
「人間らしく豊かな社会」は人の生活の豊かさの延長にあり、私たちはその生活を「暮らすこと」と「働くこと」の2つの要素にわけて捉えています。
「暮らすこと」については、衣食住・医療・福祉・教育などの人の生活を支える組織や企業に特化してサポートさせていただくことが、クライアントの先にあるお客様の「暮らすこと」を支えることになると考えています。
「働くこと」は、ハンディキャップをもつ人を排除しない働き方を作っていきたいと考えています。例えば、育児中の母親はフルタイム、かつ週5で働くことは難しいですよね。もちろん母親だけでなく、時間的・身体的ハンディキャップを持つ人は少なくありません。そのような方々も働きやすい環境をつくり、多様な「働くこと」を実現させていきたいと思っています。
また、「働くこと」は生きがいや人生の充実感に直結するので、それが持てるような仕事や働き方を増やしていきたいと思っています。
自分がマイノリティであるという意識が、いまの想いにつながっている
―いまの考えにつながるであろう、それぞれのキャリアについて教えてください。
杉本:
私はキャリアとしてはちょっと特殊ではありますね(笑)。私は通信制の高校に通いながら、16歳の時にアルバイトを始めて、17歳で採用、18歳で店長になりました。
中学の頃から学校教育に疑問をもっていて。私は「ダース教育」と呼んでいるのですが、ダースのようにそこに並んではみ出ないようにする。学校の提示する箱に収まらずはみ出たものは不正解という評価ですよね。私には私の考えがあって、その年齢なりに哲学をもって行動をしていたんです。でも、まだ子どもだったから世界が狭くて、自分からどこか別の世界にいけずとても苦しみました。
そんな教育が主流とされているのに、アルバイトをして社会に出たら、初めて「自分で考えて行動したこと」が評価をされました。そこからは働くことが楽しくて仕方がなかったですね。
―なぜ、ハンディキャップをもつ人を排除しない働き方を目指すようになったのでしょうか?
もちろん、「ダース教育にはまれない自分」が世の中でいう普通と違うということはもともと感じていましたし、病気や産後の経験も大きいと思いますね。24歳でメニエールの手前(めまいが止まらなくなる)になって、1か月ぐらい外出できなかったこと。産後は、24時間体制で、1時間~3時間に1回、授乳やあかちゃんのお世話をしつつ、子どもと自分の2人の世界で気が狂いそうになりました(笑)病気も、産後も共通しているのは、社会から断絶されていたこと。そして、“週5フルで働く”という普通(と世間では言われる)の働きかたが難しいということです。自分自身の経験から、今の会社の働き方への考え方につながっていると思いますね。
人のためにできること、自分がやりたいことをどう重ねていくか
―なるほど、ご自身の経験が今の会社経営の考えにつながっているんですね。今村さんのキャリアはいかがですか?
今村:
私は杉本とは対照的で、多くの学生が歩んでいる道と近しい道を辿ってきたと思います(笑)。私は18歳まで地元の福岡で過ごし、その後大阪の大学に進学しました。大学生活はアルバイトと趣味に明け暮れていました。
大学3年が終わる頃、「自分が人のために何ができるか」と「自分がやりたいこと」を考えて、「心地よい空間をつくる仕事がしたい」と思いインテリア業界に興味を持ちました。そして卒業後はロンドンのインテリアデザインの学校に留学して、その後日本でインテリア業界の会社に就職しました。
目指した道に進んだものの、「人のためにできること」と「自分がやりたいこと」を重ねていくことの難しさを感じて、ずっと悩みながら働き続けていました。恥ずかしながら今になってようやく解るのですが、「自分がやりたいこと」において“ただの自己満足”を求めていて、本当のところ「人のために」一生懸命になれていなかった。結局、ひとりよがりで、誰も幸せにできない仕事の仕方をしていたのだと思います。そこになかなか気づくことができず、悩みを抱えたまま、出産を機に仕事を辞めてしまいました。
―実際にmeguriで働いてみていかがでしたか?
子どもが2歳半になる頃、夫の仕事の手伝いで出会った杉本に声を掛けられ、meguriの仕事を始めました。最初は事務業務だったのですが、1ヶ月後に「コンサルの仕事に移りませんか?」と言われました。コンサルの仕事は未経験だったので、自分にできるのか不安もありましたが、求められるならとりあえず受けてみようと始めました。ところが始めた当初は、仕事を1こなすと10怒られる、という新卒で入った社員状態で、とても苦しい毎日でした(笑)。
―どうしてそこで乗り越えられたのですか?
30過ぎてのその状況はなかなか辛かったのですが、それを乗り越えられたのは、「相手(クライアント)の助けになりたい」と思う強い気持ちが芽生えたからです。そして、自分が持っている特技や特性が人の役に立つ喜びを知り、やっと「人のためにできること」と「自分がやりたいこと」を重ねることができました。
働くことは、幸せになるための選択肢の1つ
―お二人は、仕事に対してどのような考えをお持ちですか?
杉本:
ワークライフバランスという言葉がありますが、私はワークとライフを分けて考えていません。自分は1人で、自分の時間は24時間と限られている。ONとOFFにきれいに分けることはできなくて、
「暮らすこと」と「働くこと」は重なってしまうものだと思っています。
例えば、今2歳になる子どもがいるんですが、暮らしでの子育てをする経験はとても働くことにも貴重で。これが不便だな、困ったなと思うことは、他の誰かもそう思っているもの。そうやって、それが人の役にたつ、ニーズもあるビジネスになっていく。それは起業家だからだよと言われてしまうかもしれませんが、従来、子どもを面倒みつつ商売をしたり、農業をしていた。暮らすことと働くことは延長線にあって行き来するものであったと思います。
今村:
私は仕事も趣味の一つですね(笑)。もちろん自分がただ好きなことをやる純粋な趣味の時間も大切だと思います。でももし、頼まれなくてもついやってしまうような趣味や特技の中で、自分だけでなく人のためにもできることが見つかれば、それはとても自然で素敵なこと。その時に仕事と暮らしを2つに分けることなく、充実した生活を送ることができると感じています。
杉本:
きっと人間は誰もが幸せになりたいと願っていて。働くことは、私は幸せになるための選択肢の1つだと思っているんですね。それなので、大切なのは「暮らすこと」と「働くこと」も、だれが主語なのか?が大切だと思います。誰かにやらされていると、人は主語が私は、ではなくなる。あの人が悪い、会社がこうだからではなくて、今目の前で喜びや幸せを与えられる人は誰なのか。それが、自分を生きていく秘訣かなと思っています。
―最後に、大学生へメッセージをお願いします。
今村:
「自分らしさ」や「自分探し」という言葉がありますが、「自分らしさ」「自分探し」と言って「自分」を求めすぎて、昔の私のように迷路に入っていく人がいます。もちろん自分がやりたいことの方向性を探すのも大切ですが、それを自分だけの満足で終わらせず、相手の喜びに昇華できるとよいですね。むしろ、相手に喜んでもらえることが、結果的に自分の満足につながるのではないかと。
あと、「やりたいこと」が見つからなくて迷っている人は、まずは「今できること」を精一杯やることが大切だと思います。小さい仕事でもきちんと結果を残していけば、相手は次の仕事を依頼してくれます。それを繰り返す中で自分の特技特性を見つけて強みを作っていく。そうすれば、いつかやりたい仕事に出会ったときに「あなたに参加して欲しい」と思われる人になっていることができて、自分の強みをもってその仕事に飛び込んでいけるのではないでしょうか。
杉本:
誰かのために何かをやりたいというモチベーションは、最初からみんなが持っているわけでは無いと思うんですね。私も昔は誰かのためにとは、本気では思っていませんでした。最初は与えられたことをいかに徹底的にやって成果を出すか、仕事を与えてくれた人にどう笑顔になってもらうかということだと思っています。そういう身近な人のため頑張ることが、実は先細りせず次に繋がるんですよね。
これは奥田浩美さんというIT業界の女帝の教えていただいたことでもありますが、『「自分の好き嫌い」や「自分はこうじゃ無い」など、自分だけの視野や考えで物事を判断していくと、自分で可能性を狭めてしまうか可能性があるよ』と。
私もそれはもう、たくさん先輩や上司に迷惑をかけてきましたけれど、その中で他者や経験の豊富な人たちが、自分では気づかない強みを見つけてチャンスを与えてくださっていたと思います。10代・20代のうちは、出会いや与えられたチャンスを大事にして、失敗を気にせずに「やりきること」が重要だなと思います。
ジョブズの言葉に、「Connecting the Dot」という言葉がありますよね。振り返れば、関係ないと思っていた経験や体験は、点と点はつながるとう意味ですが、まず点を打たなければ始まらない(笑)。若いうちに全力で目の前のことにトライして、成功も失敗もいっぱいして、その結果振り返れば「自分らしさ」へつながるのだと思いますね。
今回お話をしていただいたお二人が働くmeguriでは、インターン生を募集しています。スキルは不問ですが自分に対する限界値を定めない、上昇意識のある方を求めています。
気になる方は、まずmeguriのホームページをチェックしてみてください!