みなさんは「ヘイトクライム」をご存知でしょうか?
コロナウイルスの流行によって、世界的にヘイトクライムの問題が深刻になっています。
そこで今回は、最近増加しているヘイトクライムとは何か、実際に起きている事件ついて詳しく解説していきます。
ヘイトクライムは、グローバル社会の一員として生きていく上で必ず知っておきたい重要な事柄です。ぜひこれを機にヘイトクライムについて理解してください。
目次
ヘイトクライムとは?
ヘイトトクライムとは、人種、民族、宗教、セクシュアリティなど、変えることができない属性を理由に危害を加える「憎悪犯罪」のことです。
近年のヘイトクライムは、インターネット・SNSを通じて言葉で人を傷つけ、自殺に追い込むような犯罪が多い傾向がありましたが、ここ最近は”直接的な暴行“に出る人も増加しているという点で、かなり問題視されています。
アメリカのヘイトクライムが深刻
ヘイトクライムは世界中で起きていますが、中でも多様な人種が存在するアメリカは、他の国に比べてかなり深刻です。ここでは、アメリカで問題視されているヘイトクライムについて詳しく解説していきます。
コロナウイルスの影響でヘイトクライムが前年の2.5倍に
コロナウイルスの流行によって、アメリカ国内ではアジア系アメリカ人に対するヘイトクライムが、前年の2.5倍まで増加しました。
特に2021年3月からアジア人へのヘクトクライムが急激に増加しており、ニューヨークの歩道を歩いていたアジア系の高齢女性が怒鳴られ暴力を受けた事件や、マンション前で女性が暴行を受け、その様子をマンション警備員が無視するという事件などが起きています。
他にもアジア系アメリカ人が営む店が銃撃される事件も多数起こり、アジア人を標的とした事件がアメリカ各地で多発しているという現状があります。
2020年に起きた黒人差別解消運動
コロナウイルスによってアジア人への差別事件が多発していますが、アメリカでは歴史上よく知られている“黒人への差別・ヘイトクライム”の問題も深刻です。
2020年には、容疑をかけられた黒人男性が白人警察官によって首を絞められ窒息死したことを機に、アメリカ中で黒人差別解消運動(ブラック・ライブズ・マター)が起きました。
過去にも数ある黒人差別の問題が起きていますが、今回の2020年の事件ではアメリカ国民を守るべき警察官までもが差別行為に出たことや、当時大統領のトランプ氏が警察を擁護するような発言が引き金となり、国内で大きな暴動・解消運動が多発しました。
黒人とアジア人の間の深刻な問題
ここまで説明した通り、今のアメリカではアジア人・黒人へのヘクトクライムが問題視されていますが、黒人とアジア人の間にも問題があることを知っておかなければいけません。
黒人とアジア人は、白人からの差別の対象として時には団結して立ち向かうこともあるものの、アジア人と黒人の間で緊張が走ることもあります。というもの、黒人が多く住む街・コミュニティには、アジア人が運営する飲食店、酒屋、サロン、美容院が多く存在します。そのことで黒人は、「黒人の職を奪っている」「白人のように黒人を見下す接客をする」など、アジア人に良いイメージを持っていません。
また2021年の3月に起きた暴行事件も、アジア人に危害を加えたのが黒人だったこともあり、差別の対象とされやすい黒人とアジア人同士の関係すら良くないことが分かります。
気になるアメリカ国内での日本人への差別は?
現状のアメリカ国内では、特に中国人への差別が深刻化しています。しかしアメリカ人にとって、韓国や日本との違いも分からないので、日本人や東南アジア系のタイ人、ベトナム人といった、アジア人全体へのヘイトクライムが多発しているのも事実です。
実際のところ、アメリカ国内のリトルトーキョー(日本の店・レストランが集う街)でも、放火事件などが起きました。また、在米日本人が店で嫌がらせを受けたという事件も多々起きているそうです。
今や街中だけではなく、ただの道端・駅・買い物中に襲われる事件も起きているので、日本人を含むアジア人が、一人で気軽に出歩くことのできない状況になってしまっています。
バイデン氏もアジア人ヘイトを問題視
アメリカ大統領バイデン氏と日本の菅総理によって行われた2021年4月の日米首脳会談では、アジア人へのヘイトクライムについても議論されました。
「人種などを理由として差別行為を行うことは、いかなる社会にも許容されない」という意見で合意し、ヘイトクライムへの対策を練るとしています。
また東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたって、差別問題・暴行はいち早く収めることが重要であるとし、世界の団結の象徴であるオリンピック・パラリンピックを実施したい意向を示しました。
アジア人へのヘイトクライム撲滅に向けて
アジア人に対するヘイトクライムが増加していることを踏まえて、アジア人差別を撲滅、予防しようと、一部の人によって様々な取り組みが行われています。
アメリカのニューヨークでは、アジア人が公共の場や行きたい場所までエスコートする無料サービスが作られ、ボランティアに約1,800人が名乗りを上げました。
またクラウドファンディングで寄付を募る活動が行われたり、SNSでも「#Stop Asian Hate(アジア人へのヘイトをやめよう)」という差別反対の運動、署名活動なども行われています。
このようにアメリカでは、様々な人が声を上げてヘイトクライムを解決しようといろいろな取り組みをしています。
まとめ:誰しもが自分ごとに考えるべきヘイトクライム問題!
今回は、世界中で問題視されている「ヘイトクライム」についてご紹介しました。
今回の記事では、特にヘイトクライムが急増しているアメリカ国内の問題を取り上げましたが、実際のところ日本やそれ以外の国でも様々なヘイトクライム・差別問題が存在しています。
グローバル化が進むなかで、人々がどうやってお互いを理解し、受け入れていくのが非常に大切になっていきます。ぜひみなさんもこれを機に、世界中で起きているヘクトクライムについて考えてみてください。