緊急事態宣言は再び発令されないのか?現状と知っておきたいこと

「また感染者が増えているみたいだけど、緊急事態宣言は再び発令されないの?」コロナウイルスに関するニュースを見てこう思う人もいるかもしれません。再度感染が拡大している中で、なぜ緊急事態宣言が出ないのか、1回目のときと何が違うのか気になる人もいるでしょう。

 

今回の記事では、緊急事態宣言は再び発令されないのかというテーマについて、現状と知っておきたいことについてまとめました。

 

1. コロナウイルス感染の現状

2020年4月に緊急事態宣言が発令されてから、感染者数は徐々に減少しましたが、5月末に解除されてからはまた増え続けています。最近では東京都では1日に約360人、神奈川県でも過去最高の約120人の感染者が見つかりました。(2020年8月6日時点)

 

こういった数字から不安を抱く人も多いでしょう。実際に、ヤフージャパンが行っているアンケートでは「緊急事態宣言の再発令が必要だと思う」と答える人は81%以上にのぼっています。

参考:ヤフージャパンニュース 緊急事態宣言、再発令は必要だと思う? 

 

また、コロナウイルスの影響で超過死亡の数も増加していることがわかります。超過死亡とは、死亡者の数が例年のデータをもとにした予想を上回っていることです。

 

日経クロステックでは ”東京都の2020年4月の死亡数は1万107人で、前年同月に比べて689人多く、2016~2019年の平均に比べると1056人多い” と記載しています。

引用元:「超過死亡」を迅速に把握できず、新型コロナ禍で政府統計の課題が浮き彫りに

 

この原因はコロナの感染者や交通事故死、自殺だけでなく、いわゆる「隠れコロナ死」や、医療体制が数に対して不十分であったことも考えられているようです。このような状況で、なぜ緊急事態宣言は再発令されないのでしょうか。

 

2. なぜ緊急事態宣言は再度発令されないか

主に2つの理由が考えられます。それは経済悪化の懸念と、初回の緊急事態宣言のときとは状況が違うということです。一つずつ見てみましょう。

 

2-1. 経済が落ち込む

緊急事態宣言を発令することは、経済の落ち込みにつながります。仮に前回と同じような内容を再度出したら、人々の外出が制限されてしまいます。そして人の移動がなくなる分、お金も動かなくなってしまうのです。

 

ニッセイ基礎研究所の調査によると、2020年4月の経済損失は4.7兆円にものぼるといわれています。その理由はやはり外出自粛によるものでした。

参考:緊急事態宣言で経済活動はどれだけ落ち込んだのか~ニッセイ月次GDPを用いた試算

 

再発令をすると、これと同じことがもう一度起こりうる可能性があります。経済的にはリスクが高すぎるのかもしれません。

 

2-2. 前回との状況の違い

前回緊急事態宣言が発令された2020年4月と現在では、状況が違うのも理由の一つとして考えられます。ヤフージャパンが行った調査では、4月時点ではそもそもPCR検査機器がない病院が多く、要請があっても調べられないこともあったそう。

 

しかし対策を進める中で検査体制を充実できて、現在は以前より多くの人に対してPCR検査をできるようになっています。そのため症状が軽い人を早期発見できるようになり、入院患者数も少なくなりました。軽症者は一定期間施設に隔離しておくだけで済む場合もあるため、病院のベッドも空きが増えています。

 

このように、感染者の数は増えているといいつつも、第一波のときよりは遥かに医療・検査体制が充実しているため、そこまで逼迫していないという考え方もできます。

 

参考:ヤフージャパンニュース 「第一波」とどう違う!?新型コロナ感染者増加【医師の見解】

 

3. 政府や自治体の対応策や考え方は?

 

ここでは、政府や各自治体はどのような対応策を考えているのかまとめました。県として緊急事態宣言を発令した愛知県の例などもあわせてご紹介します。

 

3-1. 政府は様子を見つつ、制限はしない方針

2020年8月6日の記者会見で、安倍総理は「ただちに緊急事態宣言を出すような状況ではない」と発表しました。

 

再度緊急事態宣言を出す基準は公表されていませんが、先ほど説明した医療体制の充実度合いや、軽症者が多いことが理由です。今後はGo Toキャンペーンなどの経済を立て直す施策を慎重に進めていきながら、様子を見る方針のようですね。

 

3-2.独自の対策を出した愛知県と沖縄県

自治体ごとに独自の対策を出しているのが、愛知県と沖縄県です。まず愛知県では、200人近くの感染者が出たことを受けて、8月6日に県として緊急事態宣言を発令しました。お盆休み中は不要・不急の外出を控えて、特定の地区にある飲食店は営業時間を短縮するよう呼びかけています。

 

また観光客が多い沖縄県も、独自に緊急事態宣言を発令しています。8月5日の県知事の会見では、離島への渡航を控えるように全国へ要請を出していました。沖縄の離島ではそもそも病院が少ないため、感染者が出た際に受け入れられる人数が限られています。地域特有のリスクを考慮して、独自で対策が必要と判断したいい例ですね。

 

3-3.都独自の緊急事態宣言は検討中

もっとも感染者数が多い東京では、緊急事態宣言はまだ再発令されていませんが、その数は高い水準のままです。小池都知事は会見で「状況が悪化すれば再度発令することも考えざるを得なくなる」といっています。その場合は前回とまったく同じ内容ではなく、業種や地域を絞って制限をするそうです。

 

都民にはお盆中の外出や帰省はなるべく控えるように呼びかけをしていますが、再度発令するかどうかはまだ検討している段階です。

 

まとめ:緊急事態宣言が再発令される可能性はある

コロナウイルスの現状や各自治体などの対策をあげながら、緊急事態宣言は再発令されるのかというテーマについて解説しました。国としては、再発令はせずに様子を見ている状態ですが、悪化を防ぐために独自で対策を行っている自治体もあります。

 

私達個人は引き続きマスクの着用をしたり、3密を避けたりしながら生活する必要がありそうです。自分が住んでいる地域で緊急事態宣言が発令される可能性もあるので、自治体からの情報を確認して、工夫しながら夏休みを過ごしてくださいね。