いたるところで見られるようになったラップ、ラッパーたち
最近のテレビ番組やCMなどでラップを見かける機会が増えたと思いませんか。実際、生命保険会社や食料品メーカー、大手電機製造会社など、あらゆる業種の企業がタレントやラッパーを起用、またはラップを利用した演出で広告を制作しています。
企業がラップを自社の宣伝ツールに選ぶ背景には、ここ数年の「ラップブーム」が影響していると考えられます。そして、このブームの火付け役のひとつが「フリースタイルバトル(MCバトル)」なのです。
最近ではBSスカパー!の「高校生ラップ選手権」やテレビ朝日の「フリースタイルダンジョン」など、地上波や衛星放送でもMCバトルは放送され、着実にコンテンツとしての知名度を上げ、ファンが増えています。
今回はこのフリースタイルバトルのルールや見方など、これから興味を持つ人にもわかりやすく説明します。
互いを「ディス」るMCバトルとは?
フリースタイルバトルはDJが流す音楽の上や、アカペラで2人のラッパー(MC)が交互に即興ラップを披露し、互いを批判(ディス)し合う競技です。バトルの結果はその場で聞いているお客さんや、審査員がより「かっこいい」と思うMCを選び勝敗を判定します。
ルールは大会やイベントごとに違います。現在開催されている多くのMCバトルでは流す音楽の8小節ごとにターンを交代し、そのラリーを2〜4回繰り返します。そのほかにも8小節と16小節で選べるバトルや、映画「8Mile」(2002年、主演・エミネム)のように時間を設定して交互にラップをする方式もあります。
バトルで見る「かっこいい」の判断基準は?
最近の大規模なバトルイベントではお客さんに判定を委ねるケースがほとんどなのです。ここで、MCバトルを見る上で「かっこいい」基準になる3つのポイントを紹介しましょう。
ライム(韻)
ライムする(韻を踏む)ことは、ラップの基本といってもいいでしょう。ライムは発した2つの単語の母音を合わせる技術です。例えば「イス」と「りす」の2つのワードだと、「イ」と「り」で「i」、「ス」と「す」で「u」の母音を合わせています。このライムを文章中や言葉尻などで踏むことで、自分のスキルを表現します。韻を踏む文字の数や韻の量が多いと、さらに盛り上がりますね。これから紹介するすべてのスキルに共通して言えますが、基本的にバトルに台本はないので完成度や即興性の高いライムは際立ってかっこよく感じるのです。
フロウ
フロウはDJが流す音楽(ビート)に対しての音の乗り方を言います。うまく音に乗りながらラップすることで聞く側も耳触りが良く、自然に受け入れることができるのです。良し悪しにはそれぞれの好みもありますが、フロウのスキルが突出しているMCの特徴としては、自分の世界観を持つ独特なフロウや流行りのフロウ(例・トラップビートに3連符で乗る)などがあります。ラップと同じくバトルで使われるビートも開始直前に初めて聞くことになるので、音に乗る即興性も評価の対象になりますね。
アンサー
ディスに対しての反論をアンサーとして返します。言われたことを拾い、ライムやフロウを駆使して上手く対応することで相手のディスを上回るラップになります。たとえ韻をたくさん踏んだり、流行りのフロウでラップしたりしても、話が噛み合ってないとスキルがないと判断されます。即興で戦うフリースタイルバトルの一番の醍醐味です。
このほかにも有名ラッパーのフレーズのサンプリングや、バイブス(気合い)全開のラップ、ユニークでとんちの効いたアンサーなどあらゆる沸きどころが即興ラップの中にはあります。
さいごに
ここまでフリースタイルバトルのルールや観戦のポイントを紹介しました。バトルを見て楽しむこともいいですが、今からでもフリースタイルラップをはじめることはできるのです。いろんな言葉の韻を考えることは、頭の体操にもなり、語彙力も意識的に増やそうと思えます。バトルのイベントは全国各県のクラブやライブハウスなど多くの場所で開催されています。一度現場でバトルを体感してみるのもいいですね。
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