「経済学部=文系」は日本だけ!?理系なのに経済学が学べる 経営システム、管理工学科とは?

経営システム、管理工学科とは?

皆さんは経済学部と言われて理系と文系どちらを想像しますでしょうか?
多くの人は文系の分野だと考えると思います。日本では経済学部は文系に分類されています。しかし、海外を見てみると経済学は理系に分類されているのです。なぜかというと、経済学は文学部、法学部などの他の文系学部と比べて数学をよく使うため理系扱いされているそうです。

前述のように日本では経済学部は文系に設置されています。そんな中、日本の一部の大学の中には経営工学、管理工学などのように理工学部の中に経済学を学べる学科を設置しているところがあります。東工大、早稲田の経営システム学科や慶應の管理工学科のように私立大学を中心に近年多くの大学でこのような学科が誕生しました。
そこで、今回は経営システム、管理工学とは何を学べる学科なのか。また、経済学部、他の理系との違いなどについて紹介していこうと思います。

大学選びを迷っている高校生、学科選びに悩んでいる大学生は是非ともご覧ください。

経営システム、管理工学とはそもそも何を学ぶところなの?

経営システム学科や管理工学科と言われても何を学ぶところだかよくわからないですよね。
実際、これらの学科が扱う分野は非常に広く、一言で表すのは難しいです。そのため、順を追って説明していきたいと思います。

まず、この学科がターゲットとするものについて考えていきます。
経営や管理といった言葉が表しているように、実際の企業の経営や生産の管理のように、社会における機能全般が研究の対象となります。そのため、この学科が扱うものは企業から情報、人、お金、環境、など多岐にわたります。

人間を含む複雑な現状の中から企業の生産効率の追求、都市や交通問題、地球規模での経済や環境問題まで幅広く扱うのです。

では、次にどのような分野を学んでいるか見ていきましょう。4つの分野に分けて説明していきます。

まず1つ目は人間やシステムを関係性から効率化を追求していく分野です。学問としては生産管理や人間工学、システム工学などがあります。

次に2つ目はソフトウェア技術を活用し、膨大な情報の処理のための理論、プログラムを構築していく分野です。学問としてはアルゴリズム論、ソフトウェア工学などがあります。

3つ目は解析、統計学の知識を用いてデータの分析を行い、最適解を求める理論を構築していく分野です。分析を打ち立てていく分野です。学問としては統計学、オペレーションズリサーチ(様々な数理問題に対して最適解を求めるアルゴリズムを考える学問)などがあります。

4つ目は経営学、マクロ経済学、ミクロ経済学を学ぶとともに最適な意思決定を打ち立てていく分野です。学問としては経済学、金融工学などがあります。
学問分野のイメージとしては広く浅く様々な分野を学べる学科というものになります。

経済学部と何が違うのか?

経営システム、管理工学科に興味がある人達にとって経済学部との違いは気になるところですよね。
名前からだと経営、管理と経済ではどちらも似たようなものではないかと思う人も多いと思います。しかし、先ほど述べたように経営システム、管理工学科が扱う分野の中でも経済学は一分野でしかありません。

経済学部は主にミクロ経済やマクロ経済を学ぶと共に経済史や政治など経済について言葉を中心に学んでいきます。一方経営システム、管理工学科では経済史などは殆ど扱われず、経済学も数式が中心です。

つまり経営システム、管理工学科に向いている人というのは社会や人間、経済について科学的、工学的方法によって研究していきたいという人が向いていると言えるのではないでしょうか。

他の理系の学科との違い

日本では学問を大きく分けて、自然科学と人文科学の二つに分けており、基本的に理系の学問は自然科学に分類されます。つまり研究する対象は自然現象が主です。それに対し経済学のような人の営みによるものは人文科学に分類されています。

つまり、経済学も学ぶこの学科は二つの大きな学問分野を横断しているのです。そのため、他の理系学科とは学ぶ内容に違った雰囲気があります。例えば、物理や化学の知識は殆ど使いません。その分、数学はかなり多用します。

また、ここで使われる数学というも虚数のような実際に存在しない数は一切扱わないのが特徴です。
しかし、情報工学科のようにプログラムを組んだり、数理学科のように統計学を学んだりするため他の学科と被る部分も多くあります。そのため理系らしさも十分あるのです。

***
いかがでしたでしょうか。経営システム、管理工学科について理解できたでしょうか?日本では設置している大学が少ないですが、非常に興味深い分野の研究を行っている学科となっています。大学、学科選びを迷っている高校生、大学生の方はぜひこの記事を参考にしてみてください。

参考文献
http://www.ae.keio.ac.jp/new/index.php
http://www.me.titech.ac.jp/index-j.html 
http://www.mgmt.waseda.ac.jp/