今だからこそ大学生に感じて欲しい。東日本大震災の6年の追憶。

私たち東北支援学生団体JoyStudyは、東日本大震災を受けた被災地における東北復興のニーズをなくすために活動している関東を拠点とした学生団体です。弊団体では、毎回長期休みを利用して現地ボランティアに行っています。今回も3月10日~3月13日まで南三陸・盛岡・気仙沼の3つの班に分かれて現地ボランティアに行ってきましたので、今回は、皆さんに6年前に起きた東日本大震災の復興の現状のリアルをお伝えしたいと思います。

南三陸

上山八幡宮

900年の歴史ある八幡宮では、鳥居の前で津波が止まり、神のご加護で鳥居も本殿も残ったことで有名です。復興の際には1000人以上の支援で鳥居前の瓦礫が片づけられました。

実際に当時被災された工藤真弓さんのお話

当時被災された工藤様にお話をお聞きしてきたので、以下に記載させていただきます。

3月11日はいつも雪が降り、「涙雪」と言われています。

 地震と津波で電柱が倒れ、大丈夫だろうと思っていた35年前の地震で避難所として地域の人が集まってきた我が家はバラバラになっており、他の人の家や車が突っ込んでいました。高台に避難、そして津波の勢いを見てさらに高台へ、、、 杉の木の前で津波が止まり、小学校の避難所では、マット2組を8人で使用し、卒業式の幕やシートを剥がして毛布代わりにしていました。

パイプ椅子で寝る人の姿もあり、おにぎり1つの美味しさ、ろうそく一本の灯りの有難さ、震災中に迎えた誕生日には息子からのキス、など、何かを分かち合うことを身をもって学ぶことができました。震災後に気が付いた“ふるさと”それは、山から湧き出た水が川となり海に出る、「山」「川」「海」の巡る自然の美しさです。仮設住宅付近はスーパーもでき、便利ではあるがふるさとではなくなってしまいました。

彼女の話から分かることは自然と人間の共存ということです。母なる大地である自然を操ることなど人間にはできないが、歩み寄り共存することは可能である。津波は天災であったが、海は恵みももたらす。現にその海の恩恵で漁をしたり、水を使っており、いかに上手く自然と共存するかが我々人間の課題のように思えました。

防災対策庁舎

被災地の中で、建物を、「亡くなった場所」と捉えるか、「最後まで生きていた場所」と捉えるかで場所の意味が変わります。防災対策庁舎は「物言わぬ語り部」としての役割を果たしています。津波を分かりやすく例えるなら、お風呂の水を思いっきり叩くとカサが増し、高さが出る。それが東日本大震災では、21メートルになります。それほどまでの高い水が押し寄せてくる恐怖は想像を超えるそうです。

気仙沼

宮城県気仙沼では集中捜索のボランティアに参加しました。震災から6年経った今でも、気仙沼には約210名の行方不明者がいます。何か少しでも手がかりが見つかるように、総勢230名で海岸を捜索しました。捜索をしていると、当時津波によって流れてきたであろう建物の一部や船の一部が見つかり、震災の恐ろしさを改めて感じました。

海辺の森を作ろう会

震災当時、津波に逃げ遅れたが木々に掴まり命をつないだ人が何人かいたそうです。人々の命を繋いだ木々の存在を知り、将来の災害への備えと共に、美しい海辺を取り戻すために植樹活動を行っています。今回私たちも銀杏を植樹しました。 津波に負けず、人々の命を守った木々の話を聞き自然の強さを感じました。

閖上(ゆりあげ)の記憶

私たちは最後に、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区に向かいました。「閖上の記憶」という場所で、息子さんを亡くしたお母さんが語り部となって、当時の話を聞きました。

人は経験したことのないことに対応できず、津波警報が出ても、「自分のいる場所まで津波が来るわけないだろう」とみんなが思っていたそうです。東日本大震災が起こる前は、10mを超える津波が来るなんて想像できなかったそうです。

もう少し早く息子に声を掛け、正しい方へ避難させていたら、、、と語っていた。「水が引いた後も、息子の生きていた証が欲しくて町中を探し回った。」この言葉がすごく心に残りました。

毎年3.11の追悼式では、息子に想いを届けるため風船の白い鳩を空に向かって飛ばすそうです。

盛岡

盛岡城跡公園 祈りの灯2017~あの日を忘れない~

また、盛岡城跡公園で行われた「祈りの灯2017~あの日を忘れない~」という追悼式に参加しました。イベントが始まる前、灯籠作りのお手伝いをさせて頂く機会があり、全国から集められた牛乳パックを組み立てたり、自分のオリジナルのものを作るなどの作業をしました。

完成した灯籠は全部で約1万個あり、ろうそくの火を灯して並べられた光景はとても幻想的で、一つ一つ書かれた東北へのメッセージには、震災に対する様々な思いが込められており、大勢の人が復興に向けて前に進もうとしているんだなと身に染みて感じました。

もりおか町屋物語

この建物は6つのエリアから成り立っていて、その中の一つに、被災地の子供たちに絵本を届けるプロジェクト「3.11絵本プロジェクトいわて」の絵本の小部屋があります。そこには地震が起きた時実際に送られてきた様々な絵本が置かれており、震災を身近に感じることができました。

 

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いかがだったでしょうか。今回現地ボランティアに行き、新しい発見もできました。震災から6年経ちましたが、まだ課題はたくさんあります。関東に住む私達大学生にもできることは必ずありますので、東日本大震災から6年が経った今だからこそみなさんもぜひ足を運んでみてください。