今年は熱中症がまだまだ怖い!? 10月でも熱中症を舐めてはいられない理由

まだまだ暑くないですか?

いよいよ10月に入り、暦の上では秋本番。異常気象とも言われるような猛暑日が続いた平成最後の夏のほとぼりは冷めつつあり、朝晩は涼しさを感じられるようになってきました。とはいえ、10月ももう半ばという時期にまだ最高気温が25度前後を推移するなどまだまだ残暑が厳しいようです。暑さが続くと怖いものと言えば熱中症。特に今年は異常気象とも言われた年。そこで今回は、これからもまだ怖い、10月でも熱中症に注意しなくてはいけない理由を解説していきたいと思います。

そもそもの熱中症のメカニズム

熱中症の危険性について解説する前に、そもそも熱中症がどのようにして起きるのか(大塚製薬ウェブサイト参照)を始めにおさらいしておくことにします。熱中症が起きるとき、まず最初に体が暑さにさらされることで体温が上がり、それを下げるために汗が出ます。汗には電解質となる塩分が含まれているため、汗をかくと体内の水分も塩分も少なくなってしまいます。塩分には筋肉の収縮を調整する機能があるため、これを失い続けると筋肉の痙攣が発生します。この状態のまま体温がさらに上がると最終的には体温の調整が不可能となり、脳に影響が生じて意識がもうろうとすることで倒れることがあるのです。これが熱中症発生のメカニズムとなります。

10月の熱中症が怖い理由

理由その1. 部屋と外の寒暖差

10月という時期は特に室内と外の温度差が激しくなる時期です。この時期も日中は気温が25℃を超える日が多く、その暑さは夜になっても残り続けます。夜まで外出して家に帰るという人も多いかと思いますが、特に厄介なのは家に戻るまで歩いた結果体が温まったという状態で暑さの残った部屋に入る時です。この時に大量の汗が出て、さらに室内の暑さに抵抗する手がなく体に熱が残ることで熱中症のリスクが高まります。

理由その2. 朝晩と日中の寒暖差

10月特有の寒暖差は室内と外の差に限りません。この時期になると、朝晩と日中の寒暖差が激しいと体で感じられるようになります。9月以前までは朝昼晩ずっと暑いので時間毎の気温差を意識することがあまりありませんが、10月を過ぎると朝晩は空気が冷たく感じ、一方で昼間は厳しい暑さを感じます。ここで怖いのが服装選びです。朝晩寒いと感じたことでセーターや長袖のTシャツを着て外出する人も多く見られますが、暑さのこもる室内や日中の外出時には自然と汗が出て体温も高い状態が続くため、熱中症の注意が必要になってきます。

理由その3. クールビズ期間の終わり

10月を迎えると、多くの人にとってある節目を迎えます。それが、環境省が定めたクールビズ期間の終了です。再びネクタイとスーツを着用が必要な時期になりました。あまり気にならない学生の方も多いかもしれませんが、特に塾講師などスーツ着用の義務があるアルバイトをしている学生やインターンシップ、学生団体などの活動で選考や営業に出かける学生も少なくありません。こうした学生も社会人同様朝晩は湿気や熱気のこもった満員電車に揺られ、さらに頻繁に外出もします。暑さが残る中でスーツを着ながら1日を過ごせば汗は大量に出るだけでなく、体に熱が残りやすくなります。スーツを脱いで腕にかけて持っても汗は避けられず、だからと言ってカバンにスーツをしまえば今度はしわができて必要な時に見栄えが悪くなってしまいます。結局スーツを着ることでどうしても汗をかいてしまうという状況から逃げることができない状況が生まれるのです。

理由その4. 熱中症のイメージがないことの危険性

10月という時期に熱中症の危険性自体そもそも考えたことがないという方も多いのではないでしょうか。テレビや新聞などで報じられることもほとんどなく、さらには環境省も熱中症で病院に搬送された人数の計測は毎年5月から9月末(2016年は10月2日まで)で終了していて、10月の搬送者数も公表されることがありません。データも世論もないため、10月にもなれば熱中症を意識しなくなることは不思議ではありません。ところが、気温が低いからと言って熱中症のリスクがないと思いこむと危険な場合があります。実は、暑さ指数(*)が20度前後と熱中症とは無縁と思えるような時期でも環境省が集計した6つの都市でほぼ毎日数十人もの人が熱中症のために病院に搬送されているのです。この集計によれば、2016年の10月2日には同年の8月下旬から9月上旬並みとなる400人近くもの熱中症患者が病院に搬送されています。このように、10月は決して熱中症と無縁とは言い切れないので、服装や部屋の温度などの調整をおろそかにすると体に思わぬ危険が襲い掛かるかもしれません。

*暑さ指数:(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。

環境省熱中症予防情報サイトより抜粋

10月に熱中症にかからないための対策

対策1. 頻繁に室温調整を行う

熱中症は部屋で起きる可能性も十分にあります。体温上昇の原因となる室内の暑さを軽減するために、外の暑さが落ち着く夕方ごろに冷房で温度調整をしたり、換気をしたりするなどして室内外での温度差を最低限にしておくことも汗の流出を抑えて体への負担を軽減することにつながります。

対策2. 羽織るタイプの服を準備する

この時期は服装のトラブルがつきものです。寒いと思って着た服で昼間に汗をかく、ということはできる限り避けたいですよね。こうしたときに便利なのは、チャックやボタンが前面に付いた羽織るタイプの服です。中でもカーディガンやMA1は暑すぎず薄すぎずな上に着脱も簡単に行えるので、半袖Tシャツと合わせて着れば1日の気温の変化にも対応しやすくなり、体への負担を減らすことができます。

対策3. こまめな水分補給

もはや言うまでもないかもしれませんが、熱中症対策と言えばやはり水分補給は必要不可欠です。脳や筋肉の機能を正常に維持するためには、汗をかくことで失った水分や塩分を体内に取り戻さなければいけません。そこでよく塩分と糖分を含んだ清涼飲料水を飲むことがおすすめされています。ただし、ここで飲み方に注意があります。それは一気飲みをしないこと。のどが渇くと衝動で一気に大量の水分を飲みたくなりますが、短時間で飲んだ水分の一部は腸にたまるため、気分が悪くなるだけでなく水分や塩分の体内への循環にも時間がかかります。さらに、塩分や糖分を含んだ飲料は一度飲み始めるとすぐにのどの渇きを感じます。短時間で飲んではのどが渇いての繰り返しが起きるとこれまた腸に負担がかかるだけでなく、今度は血糖値の上昇などにもつながる恐れがあります。このため、短い間隔で少しずつ水分をとることがおすすめです。

10月を侮るな!

いかがでしたでしょうか。夏が終わったと思ったからと言って熱中症のリスクはもうない、と思い込むのは大きな間違いです。ただでさえ今年は異常気象で気温が高い日が続いたり、日々寒暖差が激しく体調も崩しやすくなる時期です。自分の体温や周りの環境にこれまで以上に慎重に向き合い、しっかりと健康を維持できるように対策していきましょう。